2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の移動に重要なモータータンパク質のシグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
16700308
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
豊岡 和人 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (90360081)
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Keywords | 脳 / 大脳皮質 / モータータンパク質 / シグナル伝達 / 遊走 / 階層構造 / 移動 |
Research Abstract |
脳が高度な機能を発揮するためには綿密な神経細胞間の回路網の構築が重要である。そのためには神経細胞が綿密に制御されたメカニズムに従って正しく移動することが必要不可欠である。私は14-3-3εがリン酸化されたNudelに結合し脱リン酸化からNudelを保護すること、ひいてはこの機構が神経細胞の移動に重要であることを明らかにした。しかし、14-3-3εとリン酸化Nudelが結合することによってさらにどのようなシグナルが下流へと伝達されていくのかは明らかではない。一方、エフェクターである細胞質ダイニンのモーター活性の制御機構も不明のままである。そこでNudelのリン酸化・脱リン酸化の制御機構を詳細に調べると共に細胞質ダイニンの活性制御機構の解明を目指した。 1、Nudelのリン酸化機構の解析 私は14-3-3εとの結合に重要なNudelのリン酸化部位に対するモノクローナル抗体を作製し、Nudelのリン酸化・脱リン酸化の状態を各リン酸化部位ごとに詳細に解析した。神経細胞が盛んに移動している胎生13.5日から16.5日の大脳皮質においてリン酸化Nudelは中心体に局在していた。また、この局在はp60カタニンの中心体への正常な局在に重要であった。変異を導入したp60カタニンのプラスミドを子宮内で直接胎児の脳に導入すると神経細胞の移動に異常が見られることが示された。 2、Nudelの脱リン酸化機構の解析 Nudelの脱リン酸化制御機構を明らかにするためにNudelを脱リン酸化し中心体に局在する脱リン酸化酵素としてProtein phosphatase 4(PP4)を同定した。そしてPP4の機能を解析するためにPP4に対する抗体の作成し、この抗体を用いて細胞を蛍光染色した。その結果、PP4が核膜崩壊の直前に核膜に集積してくることを明らかにした。
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