2004 Fiscal Year Annual Research Report
SUMO依存性蛋白核内輸送システムと脊髄小脳変性症3型における神経変性の関係
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16700311
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤ヶ崎 純子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60312021)
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Keywords | ポリグルタミン病 / 脊髄小脳変性症3型 / 神経変性疾患 / 核内封入体 / Small ubiquitin modifier-1 / 核-細胞質輸送システム / ユビキチン-プロテアソーム系 / Histone Deacetylase |
Research Abstract |
本研究は、脊髄小脳変性症3型(SCA3)に代表される遺伝性神経変性疾患であるポリグルタミン病において、神経細胞内に形成される核内封入体形成に、ユビキチン関連蛋白の一つであるsmall ubiquitin modifier-1(SUMO-1)との関連を明らかにし、それを端緒に神経変性のメカニズムを解明することを目的としている。SUMO-1は基質蛋白に結合し(SUMO化)、蛋白の核-細胞質輸送を調節する等、蛋白の細胞内局在の決定に重要な役割を果たしている。SCA3の疾患脳で観察される核内封入体を免疫組織学的に検索し、これらがSUMO化されていることを確認した。SUMO化基質蛋白であるHistone Deacetylases (HDAC)-1,HDAC-4,RanGAP1,RanBP2についても調べたが、これらの蛋白が封入体内に存在していることは確認できなかった。比較のために中脳黒質神経細胞で観察される核内封入体、マリネスコ小体を検索した。マリネスコ小体もSUMO化されていたが、SCA3の封入体と異なり、HDAC4を含んでいることが判明し、これらの相違が明らかとなった。HDAC4はSUMO化依存性に核内に輸送される蛋白の一つであり、HDAC4が核内に輸送され、凝集する過程にSUMO化が関連している可能性が示唆された。細胞培養系の実験では脊髄小脳変性症7型の細胞モデル、およびユビキチンープロテアソーム系を阻害した神経系細胞で形成される核内封入体がSUMO化されていること、ならびに核内封入体形成に関連するとされるNuclear bodyの構成蛋白を含んでいることを明らかにした。今後これらの細胞培養系を用い、SUMO化をsiRNAによって特異的に阻害する実験と、SUMO化蛋白を単離する実験を平行して行い、SUMO化と封入体形成および神経変性との関連を解明していく。
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