2004 Fiscal Year Annual Research Report
後シナプスGABA_B受容体の小脳長期抑圧現象への寄与
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16700344
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
廣野 守俊 独立行政法人理化学研究所, 小幡研究ユニット, 研究員 (30318836)
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Keywords | 小脳長期抑圧現象 / 代謝調節型受容体 / GABA_B受容体 / mGluR1 / 抑制性シナプス伝達 / アドレナリン受容体 / ホスファチジルイノシトール二リン酸 |
Research Abstract |
1.小脳長期抑圧現象(LTD)への後シナプスGABA_B受容体の寄与を調べた。前シナプスGABA_B受容体の関与を除外するため、グルタミン酸を電気泳動的に投与した時の興奮性電流を小脳プルキンエ細胞より記録した。LTD形成確率が50%程度の刺激条件を見つけ(8例中4例のみで20%以上の抑圧)、条件刺激とGABA_B受容体アゴニスト、バクロフェンの同時投与を行ったが、LTD形成確率の上昇は見られなかった。条件刺激をさらに検討する必要がある。 2.mGluR1の生理的応答はGABA_B受容体活性化により増強したが、細胞内Ca^<2+>濃度上昇を引き起こす他のニューロモジュレーターでも生じる可能性がある。それを探索したところ、α_1アドレナリン受容体活性化により、mGluR1応答が増強することが分かった。また、小脳抑制性シナプス伝達がα_1アドレナリン受容体活性化により増強され、一方、α_2アドレナリン受容体活性化により抑圧されることを見出だした。このように2つのサブタイプのαアドレナリン受容体は正反対の修飾作用をすることがわかった。アドレナリン受容体サブタイプの時間的空間的発現パターンの変化は、小脳機能の複雑な修飾機構を作り出すものと考えられる。この結果については現在投稿準備中である。 3.mGluR1応答にはホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP_2)が必須であると考えられている。そこで実際にPIP_2を組織から枯渇させるために、PIP_2の合成酵素PI4Kを阻害剤でブロックして、mGluR1応答を記録したところ、完全な消失は見られなかった。これより、PIP_2非依存的な成分がある可能性が示唆された。このメカニズムの検証により、新たな情報伝達機構が見つかるかもしれない。他方、聴覚前庭器官の有毛細胞のAdaptationメカニズムにPIP_2が必須であることを証明し、Neuron誌に発表した。
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