2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常者と神経筋疾患でクレアチン併用したリハ訓練による筋力増強とADL改善の検討
Project/Area Number |
16700397
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 雄一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (80360907)
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Keywords | 神経筋疾患 / クレアチン / リハビリテーション / 筋力 / ADL / 電気生理学 / 腎機能 |
Research Abstract |
対象は筋力低下や疲労のためにリハ訓練効果が十分得られない神経筋疾患8名(男性6名、女性2名、平均年齢45.9±16.7歳)で疾患の内訳はポリオ後症候群2名、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー2名、多発筋炎2名、脊髄性筋萎縮症1名、封入体筋炎1名であった。クレアチンモノハイドレートを併用し、従来の理学療法や作業療法を行った。最初の1週間はクレアチンモノハイドレート20g(5g1日4回)服用し、その後1日5gを維持した。クレアチンモノハイドレート服用期間は2週間〜2年であった。クレアチンの服用前後で徒手筋力検査による筋力評価と身体状況のアンケートおよびADL評価を全例で行い、5例では表面筋電図による電気生理学的評価を行った。またクレアチンモノハイドレート服用中は血液検査により腎機能を評価した。その結果、クレアチンモノハイドレート服用後2週間で自覚症状(筋力低下や疲労感)の改善を認めたのは8例中5例であった。自覚症状の改善を認めた5例中4例でADLの改善(肘または肩挙上を伴う整容動作)を認めた。電気生理学的評価を行った5例では、握力がクレアチンモノハイドレート服用前後で21±9.24kg、28±12.88kgでp<0.01と有意に増加し、徒手筋力検査の結果全例で部分的な筋力改善が得られた。表面筋電図による筋電図定量解析では、三角筋・大腿四頭筋でRMSの有意な増加を認めたが、上腕二頭筋では認められなかった。クレアチンモノハイドレート開始前後1週間で2例において腎機能低下が示唆した。1例は血清クレアチニンの上昇、1例はクレアチニンクリアランスの低下を認めた。腎機能低下を示唆した2例は直ちにクレアチンモノハイドレートを中止し、血清クレアチニン値は1例では3週間後に開始前に戻り、1例は正常範囲のまま経過した。クレアチンモノハイドレートを1年間以上長期服用した5例では血清クレアチニンの上昇は認めなかった。
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