Research Abstract |
糖尿病患者の運動療法の影響を検討する基礎的データを収集するために2型糖尿病患者における血管機能特性の検討を行った.対象は,運動療法を導入していない2型糖尿病患者11名(糖尿病群;男性7名・女性4名,平均61.6歳,平均BMI23.9)とした.またさらに糖尿病非合併者(コントロール群;男性6名・女性6名,平均66.1歳,平均BMI23.9)12名を対象とした.方法は,血圧脈波検査装置(VeSera VS-1000,フクダ電子)を用いて四肢血圧,足関節・上腕血圧比(Ankle Brachial Index; ABI),心臓足首血管指数(Cardio Ankle Vascular Index, CAVI)を測定した.結果として,糖尿病群では,CAVI値が平均9.7,右ABI値が平均1.12,コントロール群では,CAVI値が平均9.0,右ABI値が平均1.12であり,各測定値ともに2群間に有意差は認められなかった.また,糖尿病群の中で合併症(腎,神経)の有無によるCAVI値には有意差が認められなかった. 糖尿病群においては,CAVI値と年齢(r=0.795,p<0.05),右足収縮期血圧(r=0.644,p<0.05),右足拡張期皿圧(r=0.662,p<0.05),左足収縮期血圧(r=0.664,p<0.05)に有意な相関を認めた.コントロール群では,年齢と有意な相関(r=0.580,p<0.05)'を認めたが,足関節血庄値には認めなかった. このことから運動療法を導入していない糖尿病患者における血管機能特性として,暦年齢のみではなく,足関節血圧データとの関連性があることが明らかにされた.したがって,糖尿病患者を対象した歩行や自転車といった運動療法による大動脈を含めた血管機能への影響は,下肢運動筋血管機能改善が1つの要因となる可能性が示唆された.
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