2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト生体における周期的な運動時の筋‐腱複合体の効率性に関する研究
Project/Area Number |
16700475
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
東 香寿美 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (40367090)
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Keywords | スポーツ生理学 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
本研究では,足関節の底屈・背屈動作を連続的に異なるテンポで行ったときの下腿三頭筋及び腱組織の動態を明らかにすることから,連続動作中に見られる筋と腱の相互作用を明らかにすることを目的とした.特に,今年度は,様々な周期で運動を行わせたときの筋線維と腱組織の長さ変化及び関節角度との関連について検討した. 被検者は,健康な成人男性7名であった.踵を上げた状態から踵を下げ,その後すばやく元の位置に戻すという足関節底屈〜背屈〜底屈という一連の動作を連続して行わせた.運動はすべて角度を変化させることができるスレッジ台上で行い,床面とスレッジ装置の角度は60°となるように設定した.被検者が足を載せる部分に床反力を測定するためのフォースプレートを設置し,1分間に60,120…180回というテンポで運動を行わせた.なお,運動の頻度を規定するためにメトロノームの電子音に運動を合わせるように指示した.床反力と同時に足関節及び膝関節角度変化を測定するために被検者の右側方よりハイスピードカメラで撮影した.また,超音波診断装置を用いて運動中の腓腹筋内側頭の超音波縦断画像を取得し,筋東長,羽状角を計測した.腓腹筋内側頭,腓腹筋外側頭,ヒラメ筋,前脛骨筋より表面筋電図を導出し記録した. 本研究の結果,運動頻度の増加に伴い足関節角度変化が小さくなり,筋及び腱組織を合わせた筋-腱複合体の長さ変化も小さくなった.そこで,足関節底屈〜背屈〜底屈という一連の動作を1周期として,筋-腱複合体長の振幅に対する筋束長の振幅の比を見たところ,運動頻度の増加に伴い比が有意に小さくなることが明らかになった.すなわち,運動頻度の増加に伴い筋-腱複合体長の長さ変化より筋束長の長さ変化が少なくなり,その分腱組織における弾性体としての働きにより,運動時の筋における力発揮が効率よくなされていることが示唆された.
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