2004 Fiscal Year Annual Research Report
眼精疲労の解消を目的とした立体映像の制作・呈示手法の開発
Project/Area Number |
16700491
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 隆史 早稲田大学, 国際情報通信研究センター, 助手 (90367136)
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Keywords | 立体映像 / 健康科学 / 水晶体ピント調節 / 眼精疲労 / リラクセーション |
Research Abstract |
本研究課題では、立体映像観察における輻湊と調節の不一致を解決する立体ディスプレイシステムを用いて、眼精疲労解消を目的とした立体映像の呈示方法に関する検討を行った。用いた立体ディスプレイは、再生される立体像の位置に合わせて、立体映像呈示用の液晶ディスプレイ(LCD)を前後に移動させる機構となっている。観察者は、レンズ系を通してLCDを観察することで、立体像の再生位置に水晶体ピント調節を合わせることが可能である。そこで、近方視および遠方視に近似した視覚状態を適切に再生することで、毛様体筋の緊張の持続により生じた視堂負担を解消する、呈示方法に関して検討を行った。 本年度は、観察者が注視する立体視標の動きと観察時間に関して、基礎的検討を行った。立体視標の動きには、リラクセーションを目的とした漸進的筋弛緩法を参考とし、視標を「近く→遠く→近く」と連続的に移動させることで、毛様体筋の緊張と弛緩を促す方法を検討した。視標の移動速度は水晶体ピント調節の追従特性を考慮し、毎秒0.2ディオプタとした。結果より、緊張、弛緩ともに追従性が高く、遠方視による弛緩を誘発させる効果が高いことが分かった。しかしながら、視標が遠ざかるときには速度を少し速くした方がいいとか、視標が前後移動する際、停止する時間がない方がいいといったような内省報告があり、快適な映像観察という観点からも検討する必要があることが示唆された。さらに、視標の前後移動という単調な映像であることから3分間は少し長く感じた、という内省報告があった。それより、短時間での映像呈示やコンテンツ表現方法の検討の必要性が示唆された。今年度は、呈示方法に着目した基礎的検討を行ったが、今後は、視覚負担解消の効果に着目した呈示方法に関して、定量的な検討を行う予定である。
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