2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700508
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
前田 亜紀子 長野県短期大学, 生活科学科・生活環境専攻, 助手 (00286692)
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Keywords | 濡れた衣服 / 体温調節反応 / 平均皮膚温 / 直腸温 / 温冷感 |
Research Abstract |
平成16年度のアンケート調査から、登山ブームの背景となっているのは、中高年登山者であることが確認された。秋期という登山に適したシーズンにおける登山時の被服類、装備品調査でも、被服類の満足度が低いことが明らかとなった。愁訴の多くは、衣服の濡れや発汗に伴う不快感であったことから、平成17年度は、濡れた衣服を着用した時の人体の体温調節反応について、基礎データを得ることを目的に着用実験を実施した。 被験者は健康な成人女子11名であった。人工気候室は、気温30、25、20℃(相対湿度は80%一定)に制御された。衣服の様式は、スウェット上下(様式S)とTシャツおよび短パン(様式T)とした。かくして上記の条件より5種条件(30S,30T,25S,25T,20S)を設定した。衣服の濡れ条件は、D(乾燥)、W1(湿った)、W2(びしょ濡れ)の3種とした。条件D,W1、W2における全衣服重量の平均は、様式Sでは各々819,1238,2596g、様式Tでは各々356,501,759gであった。各濡れ条件において、安静期と作業期を設けた。作業期における踏み台昇降作業のエネルギ代謝率は2.7であった。測定項目は、酸素摂取量、直腸温(Tr)、平均皮膚温(Tsk)、および主観申告値とした。酸素摂取量は、衣服重量および寒冷ストレスの影響を受けて変化した。Trの値は、条件25Tと20Sでは漸減した。Tskは環境温に依存して漸減し、特に条件20Sにおいては著しく低下した。本研究の要点は次の通りである。1)濡れた衣服を着用した場合、気温30℃では着衣の工夫により温熱ストレスは最小に止めることができる。2)気温25℃以下では、軽装の場合、寒冷ストレスが生じ得る。3)衣類が乾燥状態であれ濡れた状態であれ、全身温冷感が中立であるとき、Tskは約33℃であった。4)濡れた衣服条件における特色は、全身温冷感が「冷たい」側へシフトするとき、平均皮膚温が著しく低下することである。
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Research Products
(6 results)