2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700511
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
中野 朋子 財団法人大阪市文化財協会, 学芸部・学芸課, 学芸員 (00300971)
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Keywords | 結髪 / 髪型 / 大阪 / 京坂 / 江戸時代 / 化政期 / 再現研究 / 雛形 |
Research Abstract |
東京国立博物館所蔵「女風俗髪結雛形」「眉作結髪記」「風俗記」、ポーラ文化研究所所蔵「当世髪結雛形」、福岡市博物館所蔵「結髪図巻、大阪府立中之島図書館所蔵「大阪名所絵巻物」ほかの熟覧、調査を実施した。このうち「結髪図巻」(福岡市博蔵)は京都画壇の祗園井特に近い京都円山派の画家の手になる作品で、結髪再現の基本資料とする『御ぐしあげ』の内容と合致する点が多く見られることから、本研究の推進上最も重要な資料と認められるもので、資料を実見し再現の参考とすることができた点は最大の収穫であった。 資料調査と並行して調査結果の検討、ならびに結髪再現に着手。結髪師の南登美子氏とともに、大阪歴史博物館所蔵『御ぐしあげ』のうち、「をとこわげ」「めがねわげ」「いたこわげ」「てまりわげ」「っりふねわげ」「まさおかわげ」「りょうわ」の計7種について結髪雛形を制作を開始した。結髪再現に臨んでは、それぞれの髪型の特徴および結髪手順や技術的側面等に関する充分な協議を行い、途中、手直しの必要な箇所等についても随時確認・修正を行いつつ制作をすすめた。それらの再現過程はできる限り写真とビデオによって撮影・記録し、今後予定している風俗史研究の検証資料として蓄積した。 従前の研究成果に本年度の調査成果等を加味し、「宮本君山筆『御ぐしあげ』の検討から(二)-近世大坂風俗再考のために-」(『大阪歴史博物館研究紀要』第3号、2004年)、および「松川半山筆肉筆風俗画にみる幕末・維新期大坂の風俗動向」(『文化史学の挑戦』、2005年)を発表し、その成果の一部を報告した。
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