Research Abstract |
本研究では,丁寧に文字を書く機会を損なわずにPCを活用できる教育環境の実現を目的とし,教育的に望ましくない手書き文字を指摘できる教育用手書き日本語入力ツールの実現と評価について研究している. 平成16年度は,最初に,平成15年度までに収集を行った,普段通り書いてもらった手書き文字のパタンデータ(1人あたり約3900文字,約30人分のデータ)と,正しい筆順かつ綺麗に書いてもらった手書き文字のパタンデータを対象とし,各文字に追加データを付加するためのツールを開発した.追加データとしては,収集された手書き文字の各画が正しい筆順の何画目に相当するか,誤字・脱字か,綺麗な文字か(主観評価)を定義した.外部の方に追加データの付加作業を依頼し,作業を進めた結果,約半分に当たる18人分のデータに対する作業が完了した. 上述の作業と並行し,教育用手書き文字認識と,その文字認識を搭載した教育用手書き日本語入力ツールの試作を行った.教育用手書き文字認識は,手書き文字の認識に加え,複数の画が続けて書かれた,筆順を間違えて書かれた,といった教育的に望ましくない手書き文字が入力された場合に,それらを指摘する機能を持つ.また,教育用手書き日本語入力ツールは,Microsoft Windows上で動作する各種ソフトウェアヘの手書きによる文字入力を実現すると同時に,教育用手書き文字認識による指摘を表示し,さらに,その履歴を自動的に保存・参照できる機能を持つ.今後,教育用手書き文字認識の指摘の精度を高め,教育現場において試作したツールをキーボードの代わりとして文字入力に活用することにより,本研究の目的である丁寧に文字を書く機会が損なわれないPC活用の実現が期待できると考えている. なお,今年度の成果については,4月に実施される日本教育メディア学会研究会において報告する予定である.
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