2005 Fiscal Year Annual Research Report
産業科学の公開講義から見る18・19世紀の仏英における工業化過程の比較研究
Project/Area Number |
16700581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 征樹 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (90361667)
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Keywords | 工業化 / 産業革命 / フランス技術教育史 / 成人教育 / フランス工芸院 |
Research Abstract |
18・19世紀の仏英における仏英における工業化過程の比較研究を行うにあたって、本年はとりわけ、工業化の振興を目的として革命期以降にフランスで繰り返し開催された産業博覧会について、調査・検討を行った。また、イギリスにおける工業化過程の進展に関して、職人層に着目して行われた研究についてサーベイを行い、工業化における仏英交流と両国の関係を研究するにあたって参照できる概念枠組みについて検討を行うとともに、フランスで行われた公開講座のイギリスにおける受容について分析した。具体的には、とりわけ以下の3点について検討を行った。 1.フランスで1798年から王政復古後の1824年のあいだに開催された産業博覧会について、展示品目や受賞作品の概要とその評価基準について検討することによって、フランス社会における工業化の振興の具体的な内実について、マテリアルなレベルから分析するとともに、フランソワ・ドゥ・ヌシャトーやアントワーヌ・シャプタルら産業博覧会の中心人物に着目し、彼らの活動の広がりとそのなかでの産業博覧会の位置づけを明らかにすることによって、フランス社会の工業化過程において産業博覧会の担った役割を検討した。 2.近年、イギリス史研究において「フィランソロピー」に着目する研究が登場し注目をあびているが、それらの研究動向について、フランスにおける状況と比較しながら検討した。 3.イギリスにおけるメカニックス・インスティテューション(MI)運動においては、フランスで行われた産業科学の公開講座が紹介され、そのテキストや関連する文献の翻訳も行われたが、それらの著作について具体的な内容をフランスにおけるそれと比較して検討した。また、イギリスで同時代に出版されていた関連する著作との関係についても、比較検討を行った。
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