2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16700582
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (00362400)
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Keywords | 農業技術 / 有機農業 / 健康 / 食 / 動員 / ドイツ / ナチス / 技術史 |
Research Abstract |
本年度は、以下の四点において研究を進めた。1)昨年度に出版した拙著『ナチス・ドイツの有機農業』に関して、関西農業史研究会(6月)、ドイツ現代史研究会(2006年1月)で発表し、また、雑誌『談』75号で、ナチスの有機農業に関するインタビューを受け、そのなかで広く批判・意見を聞く機会を得た。どれも、技術史のなかのナチズムという視点から有機農業の問題を位置づけなおす視点を得ることができた。2)7月〜8月にかけてベルリンのフンボルト大学農学部図書館、国立図書館、連邦文書館でドイツの有機農業・農業技術に関する資料収集を行った。これによって、昨年度までにはなかった「農業技術史のなかの有機農業」という位置づけを考える素材を集めることができた。3)研究会「健康と動員」を定期的に開催し、そこで日本における「食」の問題について議論し、資料を読む機会があった。ここではとくに日本の有機農業の受容のされかた(たとえば『夏子の酒』)や、「食」の共同性と有機農業問題について発表したり、議論をしたりすることができた。4)農業機械の問題は有機農業を語る上で欠かせない。有機農業においては機械に対する態度は多種多様であるからだ。直接有機農業については触れなかったが、トラクターに関して、「耕す体のリズムとノイズ」(菊地暁編『身体論のすすめ』)で論じた。以上の4点から、本年度は「技術史のなかの有機農業」および「食の問題としての有機農業」という視点を新たに得ることができた。来年度はこの視点をさらに深めていきたい。
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Research Products
(3 results)