2004 Fiscal Year Annual Research Report
成層圏オゾン破壊ハロゲンサイクルでのリザーバの光分解による再活性化の影響力評価
Project/Area Number |
16710006
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
中野 幸夫 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (50364112)
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Keywords | ヨウ素化合物 / 硝酸ラジカル / キャビティーリングダウン分光法 / 反応速度定数 |
Research Abstract |
一酸化ヨウ素(IO)ラジカルのような反応性ヨウ素合成物は、地球大気中のオゾン破壊サイクルやヨウ素サイクルに関係するため、地球大気全体の酸化力に影響する重要な化学種である。通常、IOラジカルはヨウ化メチル(CH_3I)やジヨウ化メチル(CH_2I_2)等の太陽光分解により生成すると考えられているため、夜間には大気中に存在しないと考えられてきた。しかし、最近のフィールド観測の研究により、夜間においてもIOラジカルが存在するということが示唆されたが、その発生源に対して明確な回答は出されていない。そこで本研究においては、夜間にIOラジカルを生成する可能性があり、IOラジカル生成に対する影響力が大きいと予測されるが、これまで測定されることのなかった反応である硝酸(NO_3)ラジカルとCH_3Iの反応をキャビティーリングダウン分光法により測定した。その結果、この反応の速度定数がk=(4.3±0.4)×10^<-13>cm^3 molecule^<-1> s^<-1>であると決定することができた。NO_3ラジカルとCH_3Iの反応による大気中のCH_3Iの寿命は、この研究で決定されたNO_3とCH_3Iの反応の速度定数と大気中のNO_3の濃度を組み合わせることにより計算することができる。NO_3は夜間において、大気中の濃度が2×10^8molecules cm^<-3>まで上昇すると報告されている。以上の値より、寿命は約3時間であると見積もることができた。この約3時間という寿命は、大気において最も重要なものであると考えられる太陽光分解による大気中のCH_3Iの寿命(数日間)より早いものであった。したがって、NO_3ラジカルとCH_3Iの反応は、大気における反応性ヨウ素合成物の生成に対して重要な役割を果たしているということがわかった。
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