2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16710019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 巌 京都大学, 経済研究所, 助手 (70362407)
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Keywords | 統合化 / システムダイナミックス / ISO / 費用 / 便益 |
Research Abstract |
昨年度までに作成したモデルは、規格取得企業の公開情報を元に回帰分析(最小二乗法)をベースに構築していたが、統合化に対する影響を考慮する際には、各作業工程の統合などの影響を考慮する必要があった。そこで、本年度は、インダストリアル・システムダイナミックスを用いてモデルの再構築を行った。モデルでは、仮想した商品を製造する企業を設定し、各工程が分離している大企業と製造部門と管理部門の2部門に分かれている小企業を想定した。なお、基本変数を作業工数(作業量)とおき、費用はその作業量に準じるものとした。 そのモデルを用いてISMSの導入ケースに対し評価を行った結果、管理工数が、導入開始から一般作業化するまでの習熟度を設定しない限りは、作業効率が一般的に示されているような、J字カーブを描くことは無く、右肩上がりの線を描くのみとなった。また各工程において管理工数が追加されるため、仮想した製品1個当たりのコストは必然的に上昇することとなったが、管理工程量と人的不良率をリンクさせた結果、初期の利益率よりも高くなることがあることがわかった。次に、統合化をシミュレートするため、同じ作業工程に違う影響を持つ管理工数を追加し、各作業工程に習熟係数を設定し、統合化を想定した結果、統合化を行うことで、特に大企業において工数削減効果が高くでる可能性があることがわかった。 本研究で明らかになったことは、管理を行うことで直接的な利益が増加するとは限らないということである。ISO規格等の取得を行った企業の多くは、同時にそれまでの作業や経営の見直しを行うことがあり、現実にはその影響が強く反映されているものと考えられる。将来的には、工数が増加することから工数削減行動までの、何らかのフィードバックループを追加することで、見直し効果を考慮可能なモデルへの糸口になると考えられる。
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