2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本の下水・都市河川水における初期スクリーニングにて選定された医薬品物質の検出
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16710037
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
岩根 泰蔵 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 研究員 (90353531)
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Keywords | 医薬品物質 / 下水 / 都市河川水 / 初期スクリーニング |
Research Abstract |
最初に,優先的に測定すべき物質を選定するための初期スクリーニングを行った。まず,ヒト用医薬品の日本における消費量を算出した。計算には,2003年度までの統計・売上高および薬価に関する資料などを用いた。その結果,88の医薬品について,年間国内消費量が10t以上であると算出された。 続いて,これら88物質について,PEC/PNEC(予測環境中濃度÷予測無影響濃度)・環境残留性・生物蓄積性の評価を行った。河川水中のPECの算出には,消費量の他に未変化体排泄率を用いた。また,諸外国における年間消費量,および河川水中・下水放流水中の濃度に関する2004年までの報告も用いた。一方,水環境中の生物に対するPNECの算出には,緑藻類・甲殻類・魚類などを対象とした毒性試験に関する2004年までの報告,および定量的構造活性相関モデルによる推定値を用いた。さらに,水中半減期および生物濃縮係数の算出にも同モデルを用いた。環境残留性・生物蓄積性に関しては,薬局方および医薬品集などの記述も考慮した。 以上より,PEC/PNECが1をこえる物質として,エリスロマイシン(抗生物質)・オフロキサシン(抗菌剤)が,また0.1をこえる物質として,カルバマゼピン(てんかん・躁状態治療剤)・クラリスロマイシン(抗生物質)・メフェナム酸(解熱消炎鎮痛剤)・インドメタシン(解熱消炎鎮痛剤)が選定された。うち抗生物質・抗菌剤3物質に関しては,環境残留性が問題となる可能性も示された。なお88物質中,生物蓄積性が問題となりえると評価された物質は無かった。 さらに,上の6物質について分析条件の検討を行った。環境水試料の濃縮には,親水性・疎水性重合ポリマーを用いた固相抽出を利用することができた。定量分析には,LC/MSおよびLC/MS/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析計および同/タンデム質量分析計)を利用することができた。
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