2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16710072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 崇之 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (10367120)
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Keywords | フォノン / グラフェン / ナノ構造体 / エッジ局在状態 / 高分解能電子エネルギー分光法 / HREELS |
Research Abstract |
近年、グラフェンナノ構造体の多彩な特異な物性の発現が確認されつつあり,バルク結晶では考えられない物性発現を利用した材料開発が検討されている。グラフェンナノ構造体の一種である活性炭は、すでに多方面に応用されている重要な材料であり、例えば有害物質の吸着剤やリチウム二次イオン電池の負極材料として活用されている。活性炭には多く含まれる「端」が有害物質やLiイオンの吸着脱離に強く関与すると考えられてきた。しかし従来グラフェン微結晶の終端形状を制御して作製することができなかったため、その終端に局在した物性を詳細に解明する手段が無かった。こうした現状を打開するために、理論的に予測されている終端形状と密接な相関関係を持つ固有状態であるエッジ局在状態に注目し,その検証実験を行ってきた。 すでに先行する実験で,幅1.3nmのアームチェア型ナノリボンを作製し、理論的に予測されたエッジフォノンの信号を捉えている。今回の実験では,Pt(111)基盤上に数nmのナノグラフェン単結晶粒の形態を制御して作製し、この粒端に局在したエッジフォノンの検出を試みた。その結果、エッジフォノンの信号を捉えることはできなかったが、サイズ縮小に伴ってナノリボンと類似したフォノンのバンド構造が明瞭になることを確認した。これらの事実は,Pt(111)基板上にはジグザグ型のエッジ形状を持つナノグラフェンが優先的に成長することを示唆し,以前のSTMの観察結果とも一致している. また関連する研究として,グラフェンに類似した構造を持つh-BN膜のフィルター作用を利用し、fcc構造の鉄結晶膜を育成し、界面から応力を受けてfcc鉄のフォノンが硬化していることを確認した。 本研究では、組成や構造のよく分かった結晶性のよい試料(エピタキシャル膜)を準備して物性測定した点で、従来のエッジ局在状態の研究より、信頼性を向上させたといえる。
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Research Products
(2 results)