2004 Fiscal Year Annual Research Report
染色体欠失情報とプロテオーム解析を用いた癌抑制遺伝子の網羅的探索
Project/Area Number |
16710146
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
波多野 直哉 香川大学, 医学部, 助手 (10332280)
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Keywords | プロテオーム / 癌 |
Research Abstract |
本研究は、質量分析計を用いたプロテオーム解析を使って、共通の染色体欠失領域をもつ癌細胞について発現比較解析を行い、正常細胞と比較して癌細胞で発現低下が見られたタンパク質をリストアップし、多段階的な癌発症に関わる重要な癌抑制遺伝子を網羅的に探索することを目的とする。 今年度は、特に腎癌細胞において9番染色体短腕に欠失が見られる4組のサンプルに関して、正常組織と癌組織でのタンパク質発現の比較解析を行った。具体的には、腎癌患者から摘出した癌組織とその周辺の正常組織からタンパク質を抽出し、SDS-PAGEを行った。次に、そのレーンを均等に分割し、ゲル内プロテアーゼ消化(in-gel digestion)を行った。断片化したペプチドを四重極型と飛行時間型のハイブリッド型質量分析計(Q-Tof2,micromass)のnanoLC-ESI-MS/MS解析を用いたシークエンスタグ法により、1つのレーンに含まれるタンパク質を同定し、同時にタンパク質同定の信頼性を表すスコアも記録した。この値が大きいほど、タンパク量も多く含まれることが一般的に知られているので、サンプル間のタンパク質量を相対比較することができる。発現量比較はこのスコアをもとに行い、4組のサンプル全てでスコアが半分以下になる遺伝子を検索したところ、23種類の候補タンパク質が得られた。この中には、以前に腎癌で発現量が低下すると報告のあった遺伝子aminoacylase 1も含まれており、この解析の妥当性が示唆された。
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