2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗原 詩子 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 助手 (30336086)
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Keywords | 教育行政 / 近代音楽史 / フランス / ローマ賞作曲部門 / 新進作曲家 / 留学奨励制度 / 美術アカデミー |
Research Abstract |
本研究の目的は、フランス美術アカデミーの主催した「ローマ賞作曲部門」について、その成立(1803)以降フォーレによる大改革(1905)を経て廃止(1968)にいたるまでの165年間のうち、賞の授受について歴史的な評価の分かれる1803年から1905年までの約100年間を対象とし、当該期間における「ローマ賞作曲部門」の制度的枠組の変遷過程を調査・一覧化したうえで、賞の授受にそれぞれの立場から向けられてきた批判的言説について、その当否を問うことにある。 本研究計画期間(3年間)には「ローマ賞大賞」選抜プロセスの変遷を明らかにするが、これまでの予備調査に基づき、本年度(〜平成17年3月31日)は、以下の2点を実施した。 1.フランス国立文書館に赴き、保存されている公文書とりわけAJ37の内容を調査することで、「ローマ賞」制度の成立事情を探った。 2.19世紀定期刊行文書(週間・月刊等の音楽雑誌類)における記述を調査した。大型の調査対象として、既に開始しているRevue et Gazette Musicale de Paris(1805〜1880,一部を東京芸術大学図書館所蔵)の継続調査と、Revue des deux mondes(1831-1944,九州大学附属図書館所蔵)の調査を行った。同時に、各紙の論旨の基調的性格(いわゆるイデオロギー)に左右されない、より広い視野で問題分析を行うために、19世紀の音楽定期刊行物の目次一覧Repertoire Internationale de la Presse Musicale(東京芸術大学図書館所蔵)を適宜参照し調査対象記事を増やすことで、受賞者・受賞作品をめぐる議論の全体像を把握すべく務めた。 前者については成果として査読学術誌に研究論文を発表した(印刷中)。後者については、次年度にかけて継続中である。
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Research Products
(1 results)