2005 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル化社会におけるあいさつ行動の役割と変容:「繋がり合うこと」の日米比較
Project/Area Number |
16720079
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
井出 里咲子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 講師 (80344844)
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Keywords | あいさつ / 日本社会 / アメリカ社会 / ことばの民族誌 / 言語人類学 / 社会言語学 / グリーティングカード |
Research Abstract |
本年度の研究内容の成果は以下の二点である。 まず、これまでに進めてきた日本社会とアメリカ社会の公的場面における対面のあいさつ行動の違いを日本語の論文にまとめた。これは研究代表者が博士論文(1998)で分析したデータに新たな分析方法と言語人類学の理論を用いて考察し直したもので、共同執筆書である『講座社会言語科学 第一巻:異文化とコミュニケーション』(2005年10月、ひつじ書房より出版)に、「あいさつとスモールトーク:ことばの潤滑油を超えて」としてまとめることができた。これまで日本語とアメリカ英語のあいさつについて、別個に研究を行ってきたが、初めて比較対照分析が実践できた。その結果、「あいさつ」という普遍的な行動様式と文化の相関関係をこれまで以上に明確に認識することができ、また既存の「あいさつ論」に留まらない新たな視点を分野に提供できたのではないかと考える。学会活動においては、第16回社会言語科学会大会(平成17年10月1〜2日、於龍谷大学)において、「共にあること・通じ合うこと」という題目のシシポジウムを企画し、「スモールトークと共在感覚」という題目で研究報告をすることができた。 第二に、平成17年度三月にアメリカ合衆国サンフランシスコ市内外において実施した「グリーティングカード」利用の実地調査とインタビュー内容について、本年度はそのデータをもとに具体的な分析を進めることができた。ここでは、現地で収集した資料や関連論文の他に、インターネット上のグリーティングカードの利用状況と内容を加え、アメリカ社会におけるあいさつ状の意味機能について考察を進めている。これに関しては、今後現地でのアンケート調査やインタビューが必要であるが、成果を論文及び学会発表として平成18年度中に公表し、さらに日本社会におけるあいさつ状やグリーティングカードの使用状況と比較していきたい。
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Research Products
(1 results)