2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720110
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
福嶋 健伸 実践女子大学, 文学部, 助手 (20372930)
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Keywords | テンス / アスペクト / 文法化 / 類型論 / 存在動詞 / 韓国語 / 〜タ・動詞基本形 / 〜テイル・〜テアル |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本語のテンス・アスペクト体系の変遷を明らかにし、その変遷の有り様の言語学的な位置づけを明確にすることである。 本年度は、まず、現代日本語を中心に資料(文字データと音声データ)を揃え、現代日本語の〜テイルについて、ニ格句との共起率などを調べた。本調査により、「動詞の格体制にニ格句が入っていない場合でも、〜テイルという形にすると新たにニ格句が出現する」という現象が数量的に確認され、かつ当該現象がシステム的に記述できる可能性が示唆された。この研究成果の一部を、「動詞の格体制と〜テイルについて-小説のデータを用いたニ格句の分析-」(矢澤真人・橋本修編集『現代日本語の文法:現象と理論のインタラクション(仮称)』ひつじ書房・近刊)にまとめた(福嶋の原稿は2004年9月に入稿済みである)。 次に、上記の研究成果を参考にしつつ、日本語のテンス・アスペクト体系の変遷の有り様を考察した。その結果、申請書に「予想される結果と意義」として記した通り、主要なアスペクト形式が存在型である言語(日本語や韓国語)の体系の変遷に類型が見られることが明らかになった。 この研究成果の一部を、安平鎬氏(韓国誠信女子大学校助教授)と共著で、日本語学会学会誌『日本語の研究』(旧称『国語学』)に投稿した。その結果、『日本語の研究』第1巻3号(『国語学』通巻222号)に掲載されることが決定した。この研究成果により、日本語のテンス・アスペクト体系の変遷を類型論的考察するという観点からの研究の可能性が提示された。
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