2005 Fiscal Year Annual Research Report
「行為-結果」言語化のメカニズム 事象構造、語彙概念構造の未来
Project/Area Number |
16720113
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
兼元 美友 信州大学, 経済学部, 専任講師 (90362095)
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Keywords | 語彙意味論 / 語形成 / レキシコン / Event Structure / LCS |
Research Abstract |
従来の語彙意味論分析では困難であった、語彙項目自体の持つ語彙概念構造・事象構造と、動詞句以上の要素の概念構造・事象構造との区別を内包するモデルの構築が、本研究の一つの大きな目標である。本年度は、その区別の必要性を、(1)operationのかかるレベルの差異、(2)telicityの差異という二点において議論し、新モデル構築の可能性を探ってきた。 まず、第一点目に関しては、接辞付加に代表されるような各語彙項目にかかるoperationと、PustejovskyやRappaport and Levinがそれぞれco-composition/event augmentationと呼ぶ、活動動詞から達成動詞へのシフトに代表されるoperationを議論する際、単一の表示に基づいていては説得力のある説明を行うことができないと主張した。 また、第二点目に関しては、結果構文におけるtelicityが絶対的なものではないという指摘を基盤に、derived accomplishmentとでも呼べるような結果構文等のtelicityと、語彙項目の意味内容自体にtelicityを含むbreak,melt等の状態変化動詞がいずれも、[[x ACT ON y]CAUSE[BECOME[y BE AT-z]]]という共通のLCSによって説明されているという従来の語彙意味論研究の問題点を挙げた。 更に、Rothstein(2004)が、Ella reached the summit of the highest mountain./Mary spotted her arch enemy at the party.などの他動詞もachievement verbと分類したことをヒントに、^*Mary arrived at the station for 10 minutes./^*Mary spotted her arch enemy for 5 minutes.等の例から、achievement verbにおける結果事象の存在についての再考の必要性を指摘した。
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Research Products
(1 results)