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2004 Fiscal Year Annual Research Report

トスカナ大公国における宮廷の誕生と形成

Research Project

Project/Area Number 16720178
Research InstitutionFukuoka Women's University

Principal Investigator

北田 葉子  福岡女子大学, 文学部, 助教授 (30316161)

Keywords宮廷 / フィレンツェ / トスカナ大公国 / イタリア / 西洋史 / メディチ家
Research Abstract

トスカナ大公国の宮廷の全体像を理解するために、宮廷給料簿および宮廷職についてのさまざまなマニュアルの分析を行った。その結果、宮廷職は7つのグループに大別されることが判明した。
ひとつめは、宮廷全体を統括し、いわば君主の代理として活動する宮廷執事やその補佐たちである。ふたつめは、狭義の「宮廷人」たちであり、彼らは貴族や有力市民層の出身で、君主をめぐる宮廷の格を形成する。彼らは君主のそばで働き、君主の行動を儀式化し、君主に威信を与えるための存在である。三番目は、宮廷の職にかかわる役職である。この役職はさらに3つに区分される。君主に対して直接、食のサーヴィスをするものたちと、君主に直接サーヴィスするわけではないが、君主と接触のある可能性もあるものたち、そしてした働きのものたちである。君主に対して食のサーヴィスをするものたちは、狭義の「宮廷人」と同じランクとなる。四番目は、財務や家の管理を任される者たちである。さまざまな職がこの中にふくまれるが、とくに調度や衣装を管理する調度・衣装部は、高価な芸術品も管理し、君主にも直接接触するため、威信の高い職となっている。五番目は、厩舎や狩りに関わる職で、7つのグループの中で最大の人数を誇る。馬やラバは君主の威信を示すための重要な「道具」でもあり、彼らの中にはかなりの高給取りもいる。また狩りは君主の重要なレクリエーションでもあり、鷹匠などは厚遇を受けていた。六番目は「女性」である。ここには乳母や女官といった女性にしかできない職を分類した。全体として報酬が非常に低く、男性とは雇用形態が異なっていたと思われる。最後のグループは、芸術家・職人である。他の国の宮廷では宮廷職に分類されていないところもあるが、フィレンツェでは、芸術家や職人は宮廷の歳費から報酬を受けていたのである。
以上7つのグループを総合すると、16世紀になって新しくできたフィレンツェの宮廷であるが、すでに明確なヒエラルキーができており、それは個々の役職の報酬にも現れていた。君主に直接接触する者、あるいは君主に威信を与える役職の報酬は高額であった。宮廷は、君主という至高の中心を照らし出すための装置であり、その目的のために宮廷人は雇われていたのである。
この研究によって、重要な宮廷職が判明したので、今後、狭義の宮廷職についた者たちについて分析を行い、トスカナ大公国のエリート層の研究にもつなげて行く予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2005

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 十六世紀のフィレンツェの宮廷:宮廷職とその機能2005

    • Author(s)
      北田 葉子
    • Journal Title

      日伊文化研究 43

      Pages: 94-105

URL: 

Published: 2006-07-12   Modified: 2016-04-21  

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