2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16720194
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
宮本 康治 財団法人大阪市文化財協会, 調査研究部・調査課, 学芸員 (80344381)
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Keywords | 江戸時代 / 蔵屋敷 / 佐賀藩蔵屋敷 / 広島藩蔵屋敷 / 久留米藩蔵屋敷 |
Research Abstract |
本年度は大坂に所在する蔵屋敷について、これまでの発掘調査にかかわってすでに作成されている発掘調査の資料を整理する作業を主に行った。作業の状況を遺構・遺物に区分して記す。 まず遺構についての資料の整理、比較検討の作業においては、蔵屋敷調査の嚆矢となった佐賀藩蔵屋敷、広島藩蔵屋敷、久留米藩蔵屋敷をはじめとする屋敷について、写真のデータ化、報告されている遺構図および関係する図を整理し、比較検討する作業を行った。その中で屋敷ならびに遺構の特徴を検討し、類型化する作業を主に行った。その結果、それぞれの蔵屋敷はこれまで特徴が十分とらえられていなかったが、規模や遺構の状況によって細分される可能性が明らかとなった。すなわち、遺跡の立地、規模の大小、屋敷そのものの存続期間、所有する藩あるいは大名の入れ替わりや関与のしかた、屋敷の敷地の状況、屋敷に伴う建造物や構造物の配置をはじめとしたありかたである。本年度は主にその類型化を行う視点の抽出を行った。今後、具体的な遺構および、残されている絵図類、他地域の屋敷(遺構および絵図など)との比較検討をさらに進めることによって、大坂における屋敷の特徴、およびそれぞれの屋敷の特徴がより明らかにできるものと思われる。 次に陶磁器・土器を中心とする出土遺物の検討においては、これまで作成されている図面資料を整理する作業を主に行い、主に陶磁器・土器類の数量を検討する作業を進めた。その結果18および19世紀におけるそれらの構成や組成が明らかとなり、おおまかには江戸時代のおわりに向かい、多様化していく傾向などが窺われた。今後、他地域との比較によって蔵屋敷出土の遺物の特徴など、その性格がより明確になると考えられる。 なお、これらの成果については一部を関西近世考古学研究会において口頭発表し、研究ノートを作成した。
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