2004 Fiscal Year Annual Research Report
金融危機に対する政策形成過程三国(日本、アメリカ、スウェーデン)比較研究
Project/Area Number |
16730068
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
竹中 治堅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (70313484)
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Keywords | 金融危機 / 公的資金 |
Research Abstract |
初年度は日本、アメリカ、スウェーデンにおいていかに金融危機が発生し、それに対してどのような政策が形成されたかという事実の把握につとめた。 戦前の日本では、第一次世界大戦終了後、経済状態が悪化したことによって、不良債権が発生し、金融機関の経営状態が悪化した。金融システムは不安定化したが、抜本的対策はとられず、1927年に金融危機が発生し、多くの金融機関が破綻した。政府はモラトリアム、日本銀行による融資、およびそれに対する政府保障を行うことで、金融危機を解決した。 1990年代の日本では、いわゆるバブル経済が崩壊したことによって、不良債権が発生し、多くの金融機関の経営状態が悪化した。金融システムは不安定化したが、抜本的対策はとられず、1997年から1998年にかけて金融危機が発生した。政府は、公的資金の投入、破綻処理制度の整備、金融庁による銀行指導の強化などによって、金融危機を解決した。 アメリカでは、1980年代に貯蓄貸付組合(S&L)の経営危機問題が発生した。80年代前半に高金利による逆ざやによって経営状態が悪化した貯蓄貸付組合の多くは、高利回りが期待できる不動産融資を拡大した。しかし、80年代後半に不動産価格が急落するとこれらの融資は不良債権化し、殆どの貯蓄貸付組合が経営危機に陥った。1989年から1991年にかけて政府は、公的資金の投入、不良債権の切離、整理回収公社(RTC)の設立などを行い、問題を解決した。 スウェーデンでは、1991年から1992年にかけて同国の主要銀行であったノルドバンケン、フェルシュタ銀行、ゴータ銀行などが次々と経営危機の陥り、金融システム不安が起きた。これに対して政府と中央銀行は、銀行の全債務の保証、公的資金の注入、不良債権の切離などの政策を立案し、1995年頃までに金融システムの安定化に成功した。
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