2005 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権化後のインドネシア地方政治の構造再編分析-公共事業に焦点を当てて
Project/Area Number |
16730069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 助教授 (90372549)
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Keywords | 政治学 / 政策研究 / 地域研究 / インドネシア / 民主化 |
Research Abstract |
当研究は、分権化後のインドネシアの地方政治の構造と動態を、公共事業の立案、実施過程に焦点を当てて実証的に明らかにすることを目的とする。二年度目に当たる今年度は、大きく分けて以下のような調査を行った。まず、2004年に地方行政基本法と財政均衡法が大幅に改正されたことから、中央地方関係の基本的枠組みの変化を調べた。結論としては、行き過ぎた地方分権化に対する揺れ戻し・再中央集権化の兆しがあることがわかった。中央管轄の公共事業についてみてみると、中央集権の時代には公共事業省の出先機関(Kanwil, Kandep)がプロジェクトを実施していた。地方分権の時代に入ると、自治体の公共事業局の一部の人間がプロジェクト担当者に指名されていたが、今後は再び出先機関を作る予定であるという。次に、中央省庁が地方で行うプロジェクト総額が自治体予算よりも遙かに大きいことが分かった。例えば、南スラウェシ州の公共事業予算の場合、中央の公共事業局が同州で行う事業総額は同州政府の公共事業予算の三倍に当たる。現在までに、全州に関して中央政府が行っている事業総額に関するデータを入手した。ただし、まだ分析はしていない。三つ目は事例研究としてゴロンタロ州を集中的に調べた。2000年にできたばかりの同州では、中央政治家兼実業家であった人物が州知事に就任することで州行政は新たな様相を見せ始めている。行政は企業経営と何ら変わりないと豪語する州知事の下で、同州は「企業家精神に富んだ州」(Entrepreneurial Province)になることを目指している。トウモロコシ100万トン生産計画・人材育成・漁業開発を三大テーマに掲げ、あらゆる開発事業をこれらに統合的に結びつけようとしているのである。ロビー活動などを通じて中央からたくみに予算をとりつけ、他州と比べても非常に巨額の公共事業誘致に成功している。現在は、そうしたEntrepreneurial Provinceでどのような政治構造が生まれつつあるのかについて詳細な分析を行っている段階である。
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Research Products
(6 results)