2005 Fiscal Year Annual Research Report
アジア太平洋の安全保障枠組みと沖縄-冷戦史の文脈からみた沖縄返還-
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16730092
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
吉次 公介 沖縄国際大学, 法学部, 助教授 (40331178)
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Keywords | 日本外交 / 日米関係 / 冷戦 / 沖縄返還 / 池田勇人 / 佐藤栄作 / リンドン・B・ジョンソン / リチャード・ニクソン |
Research Abstract |
(1)沖縄県立公文書館調査 池田政権期から佐藤政権期を対象として、沖縄県立公文書館に所蔵されているフライマス文書の調査及び資料調査を行った。注目すべきものとしては、ニクソン・ドクトリンとアジアにおける米軍のプレゼンスについて分析した報告書が発見されたことである。この文書は、ニクソン・ドクトリンと在沖米軍の関係について記しており、アメリカ側がニクソン・ドクトリンのなかに沖縄をいかに位置づけていたかを知るうえで重要な手がかりとなるだろう。昨年度に収集した、沖縄県立公文書館所蔵のアメリカ国務省文書の分析にも着手した。アメリカ政府が、沖縄返還とアジアにおける米国の威信と関連付けて捉えていたことなどが判明した。 (2)二次資料調査 戦後沖縄史を知る上での基礎資料である『沖縄年鑑』各年版を利用して、1960年代から1970年代初頭における在沖米軍の概況を調べることとした。また、『屋良朝苗回顧録』や『西銘順治日記』など、1960年代における沖縄の指導者たちの回顧録や日記も調査した。 (3)アメリカ国立公文書館調査 アメリカ国立公文書館で、アメリカ国務省のLot Filesを調査し、複写を行った。これらの文書のなかには、韓国や台湾が沖縄返還をどのように見ていたかを示す興味深い文書が含まれていた。 (4)研究成果の公表 池田政権期における沖縄問題についての分析を進める過程で、「『経済主義』イメージの形成と定着」と題する池田外交研究史論を執筆した。 またアメリカ国立公文書館で、昭和天皇が日米関係に強い関心を示していたことを示す、非常に興味深い資料を発見した。本研究事業においては「副産物」ではあるが、日本外交、日米関係史研究に極めて大きな進展をもたらす、非常に大きな発見であった。現在、これらの史料を用いた論文を執筆しているところである。
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Research Products
(1 results)