2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 真吾 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (10326283)
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Keywords | 等価尺度 / 計量経済学 |
Research Abstract |
「等価尺度を用いた高齢世帯の生活水準の評価(会計検査研究30号,109-128頁)」では,若年世帯との比較による高齢世帯に関する等価尺度の推定を通じて,世代間の再分配制度という側面から,現行の年金制度への含意について考察を行った.平均的な若年世帯と同程度の厚生水準を保つために高齢世帯が必要とする生計費(必要生計費)を計算し,必要生計費を賄うために十分な年金給付や資産を持つ世帯はどのような世帯なのか,厚生労働省『国民生活基礎調査』を資料として明らかにすることを試みた.高齢世代のなかでも特に共済組合年金・厚生年金を受給している夫婦世帯では必要生計費を大きく上回る消費生活を平均的に行っているが,高齢女性単身世帯,特に国民年金・基礎年金のみしか受給していない世帯は必要生計費以下の消費支出を行っているという大きな経済格差が存在していることが明らかになった. また現在執筆中の"Physician's Behavior under Public Health Systems in Japan"では,医療制度改定が診療サービス供給,特に診療行為にどのような影響をもたらしたかについて考察を行った.老人医療保険の自己負担方式として定率負担方式が導入された前後一年間の病院のレセプトデータを用いて,重篤度が比較的高くない慢性的な疾病を抱える同一人物を追跡し,総医療費や各診療行為がどのように変化したかを具体的に調べた.理論的な考察から自己負担率の増加する患者グループと減少する患者グループについて異なる医療サービス供給が行われうることを示し,それを複数の診療期間のデータを用いて確認した.
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