2004 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的地場産地の中小企業が実行可能なビジネスモデルを探る研究
Project/Area Number |
16730128
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
米光 靖 九州大学, 経済学研究院, 講師 (40346763)
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Keywords | 地場産業 / 伝統的工芸品産業 / 中小企業 |
Research Abstract |
本研究の目的は産地内部の事情を充分に理解した上で、零細企業にも実行可能なモデルを提案することにある。産地を熟知するために主要なフィールドワーク対象地域を北部九州、特に有田焼産地と博多織産地に絞って行った。有田焼産地や博多織産地は以前から筆者が研究対象としていたので、調査をさらに継続し、実態と問題についての理解をアップデートした。16年秋から有田町の町づくりの集会にも定期的に参加し、陶磁器商社やメーカーの経営者、役場の職員、博物館学芸員と交流を深めた結果、産地の実情について理解を一層深めることができ、伝統的地場産業の将来について議論することができた。また、文献調査では最新の地場産業や地域経済の研究・報告書などを購入し、熟読した。全国の伝統的地場産業の実態と問題点を理解すると共に、自らの経営資源の範囲内で創意工夫している伝統的地場産地の中小企業の様々な事例の情報を収集し、整理した。その結果、京都、滋賀、愛知といった地域の伝統的工芸品産業に新しい取り組みがあることが明らかになったので、現地を実際に訪れ、聞きとり調査を行った。伝統工芸の教育機関、観光と産業のマッチング、伝統的流通システムへの挑戦といった点が極めて重要であることが明らかになった。こうした研究の成果の一部は経済地理学会西南支部例会(2004年12月18日)で「伝統的工芸品産業の現状と新しい取り組みについて:北部九州産地を事例として」のタイトルで発表した。また、映像を研究に取り入れることを計画で掲げたが、ビデオカメラの購入が遅れたため、調査の映像記録は充分に進まなかった。しかし、17年度は積極的に映像記録を撮り、研究資料としてだけでなく、教育材料にもできるよう行うように努める予定である。
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