2004 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリにおける視覚的側面と触運動的側面間のクロスモダルな相互作用
Project/Area Number |
16730364
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森本 琢 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (10360877)
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Keywords | 触運動覚 / 視覚 / ワーキングメモリ / クロスモダルな認知処理 / 運動パターンの記憶 |
Research Abstract |
申請者は触運動覚というモダリティを取り上げ、視覚的および触運動覚的感覚入力に基づく情報が、ワーキングメモリ内でどのように表現されるのか、二重改題法というワーキングメモリ的手法を用いて一連の検討を現在まで行ってきた。これらの研究の結果、触運動的入力の場合は、形態的表象と材料的表象(触感)が分離されて保持されるという可能性が、一方、視覚的入力の場合はそうした二重乖離は見られず、材料的要素(肌理・色)による若干の違いは見られるものの、形態的表象と材料的表象がある程度統合された形式で保持される可能性が示唆された。触運動的形態表象と視覚的形態表象間にはある程度のオーバーラップが存在すること、また、触運動的材料表象と視覚的材料表象間にはオーバーラップは無く、両者は独立したものであることを見いだしてきた。 本年度は特に、触運動的形態表象と視覚的形態表象間の相互作用に関する検討で得られた知見が確固としたものであるのか、類似した実験を設定して追調査を行った(6th Tsukuba International Conference on Memoryで発表)。 また、これまでの研究では、平面に5mmほどの高さの形態を形取った物体を張り付け、それを上から触ってもらうような触刺激を使用していたが、科学研究費で3次元切削器を購入し、勾配を自由に変化させた触刺激を制作することが可能となった。現在、これらを刺激材料とした実験を行っている最中である。こうした実験により、3次元性がより強調された刺激を触認識する場合のメカニズムと、どちらかというと平面的な刺激を触認識する場合のメカニズムを比較することが可能である。また、新しいワーキングメモリのサブコンポーネントとして注目を集めつつある「運動パターンの記憶」と触運動表象との関係に関する検討も現在並行して行っている。
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Research Products
(1 results)