2005 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングメモリにおける視覚的側面と触運動覚的側面間のクロスモダルな相互作用
Project/Area Number |
16730364
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森本 琢 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (10360877)
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Keywords | 触運動覚 / 視覚 / ワーキングメモリ / クロスモダルな認知処理 / 運動パターンの記憶 |
Research Abstract |
申請者は触運動覚というモダリティを取り上げ、視覚的および触運動覚的感覚入力に基づく情報が、ワーキングメモリ内でどのように表現されるのか、二重改題法というワーキングメモリ的手法を用いて一連の検討を現在まで行ってきた。これまでの研究では、平面に5mmの高さの形態をはりつけ、それを上から触ってもらうような触刺激を使用していたが、科学研究費補助金で購入した3次元切削器(Roloand DC製CAMM-3)を用いることによって輪郭や立体的勾配を自由に変化させた触刺激を制作することが可能となった。 本年度はこうした触刺激を用いて、触運動的探索によって得られ3次元的形態情報がワーキングメモリ上でどのように表現されるのか、検討を行った。特に焦点を当てたのが、3次元的形態がワーキングメモリ上に表現される際に、その形態を探索する際の手の運動情報が、形態表象とどの程度結びついているかという点である。具体的には、プライム刺激を触ってその立体的形態を記憶し、10秒間の遅延を挟み、後に提示されるターゲット刺激の異同判断を求める課題のパフォーマンスに対して、遅延時に行う形態干渉課題や運動干渉課題がどのように影響を与えるのか検討を行った。その結果、触運動覚的探索によって得られた形態表象が,形態判断だけでなく単純な運動によっても同程度の妨害効果を受けることを示され、ワーキングメモリ内において,触運動覚的形態表象と運動表象の結びつきが非常に強いことが示唆された。先行研究において、視空間コンポーネントとは独立した運動情報のためのコンポーネントの存在が示唆されているが(e.g.,Smyth & Pendleton,1989)、今回得られた知見は、触運動的探索によって得られた3次元的形態表象の特殊性(形態表象と運動表象の結合の強さ)を示すものとして興味深い。これに類した実験とその結果も併せて、研究成果を学会等で発表した。
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Research Products
(3 results)