2005 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸運動との協調を伴う周期的道具使用動作の「巧みさ」の発達
Project/Area Number |
16730368
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
三嶋 博之 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (90288051)
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Keywords | 呼吸運動 / 巧緻性 / 協調 |
Research Abstract |
道具使用場面での巧緻性と呼吸運動との協調関係を明らかにするための実験を行った.呼吸運動にともなう胸部の拡張/収縮をAMI製Inductotraceシステムによって,また,ハサミ(全長165mm,刃渡り75mm)の開閉運動(ヒンジにおける角度変化)を村田製作所製ポテンショメータによって計測した.サンプリング周波数は100Hzとした.10名の大学生(すべて右利き)を被験者とし,楽な呼吸を行いながらもっとも好ましい速度で,しかし実際には紙を切らずに空中でハサミを開閉する条件(A条件:6名),楽な呼吸を行いながらもっとも好ましい速度で,A4版上質コピー用紙の長辺の縁を「約10mmの深さで,できるだけ細かく,一定の間隔で,短冊状に切り込むこと」を繰り返す条件(B条件:4名)に分けて実験を行った.実験から得られた波形データ(20秒間分,2000点)について,相互再帰性定量化分析における3つの指標(%REC,%DET, MAXLINE)によって評価した.その結果,「MAXLINE値」において,A条件<B条件となることがあきらかとなった(t(8)=2.76,p<.05).これは,ハサミを単に空中で開閉しているときよりも,ハサミを使って紙を切る課題を遂行しているときの方が,呼吸運動とハサミの開閉運動との間に,より決定論性の強い協調関係が構築されていることを示している.これは,呼吸運動が,その本来の目的である換気活動だけでなく,その自律性を失わない範囲においては,課題に応じて他の活動を支持する場合があることを示唆していると考えられる.
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