2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 健志 東京大学, 大学院・教育学研究科, 研究拠点形成特任研究員 (10361601)
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Keywords | ポスト学歴社会 / 生活戦略 / メリトクラシー |
Research Abstract |
本研究の課題は、「ポスト学歴社会における若年者の生活戦略」となっている。すなわち、ポスト学歴社会についてのありようと、若年者の生活戦略とを関連づけて捉えることを目標としている。そこで、一年度目である本年度は、「ポスト学歴社会」という概念の検討と、それにもとづく若年者へのインタビューを試みた。 まず、『学力の社会学:調査が示す学力の変化と学習の課題』のうちの一章に、「ポスト学歴社会における学習意欲と進学意欲」論文を執筆した。この論文は、「ポスト学歴社会」という視角を提示することで、メリトクラシー研究に新たな問題領野を示すことを目的としたものである。具体的には、小中学生を対象とした質問紙調査より得られたデータをもとに、学習意欲や進学意欲の規定要因を分析した。一般的には、現代日本社会を学歴社会と見なす者ほど学習意欲や進学意欲が高いと考えられているが、そうした関係は出身階層(社会階層)が高い子どもたちの間でしか妥当しないことが、この論文で明らかにされている。このことは、ポスト学歴社会における意欲の形成のありようが、社会階層によって異なっていることを示唆している。 第二に、ポスト学歴社会という分析視角にもとづいて、日本および英国において、若年者の生活キャリアにかんするインタビューを行った。これとともに、いずれの国においても、若者の就労サポートを担っている機関(ジョブカフェ(日本)、コミュニティ・カレッジ(英国))での就労サポートの状況にかんするヒアリングを実施した。
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