2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16730403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 健志 東京大学, 大学院・教育学研究科, 研究拠点形成特任研究員 (10361601)
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Keywords | ポスト学歴社会 / メリトクラシー / ニューディール / 病気の社会的構築 |
Research Abstract |
第二年度である本年度は、昨年度に検討した「ポスト学歴社会」という概念にもとづいて、若年者の生活戦略を捉えるべく、就労支援関連機関および若年無業者・フリーターへのインタビューを行った。 具体的には、昨年度にひきつづいてジョブカフェおよび公共職業安定所にて就労支援の方策を把握したが、英国の例で見られるような強制性を欠いているため、実質的な問題の解決が困難であることが明らかとなった。他方で、英国のストーク・オン・トレント市における調査では、ブレア政権の雇用政策の要の一つとなっているニューディール政策をローカルな文脈において検討した。この政策において中心的な役割を担うジョブセンターのほか、成人の再教育施設であるカレッジ、それにくわえてカレッジに併設されているキャリアガイダンス・オフィスであるNextstepおよび「就労不能者」を労働市場に再送致するプログラムであるFit for workにおいて取り組みについてのヒアリングを行った。さらに、カレッジにおいて識字や計算といった基礎的スキルを習得している学生=長期失業者(男性のみ)に対して、彼ら自身の生活にかんするインタビューを行っている。これらの調査から、英国の無業者対策であるニューディール政策が極めて強制力をもつこと、一方では無業者のアスピレーションを高めるとともに、この政策が提供するプログラムに参加しないことが就労「不能」という状態をもたらすことが明らかになった。すなわち、病気や障害というかたちで公式統計にあらわれる人々が社会的に構築されているということである。
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