2005 Fiscal Year Annual Research Report
高次元代数多様体の変形に関する研究、特に3次元弱Fano多様体について
Project/Area Number |
16740008
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
皆川 龍博 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40323779)
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Keywords | Fano多様体 / 変形 / 弱Fano多様体 / 分類 / Nef錘 / 端収縮射 |
Research Abstract |
平成17年度は16年度に引き続き非特異3次元弱化Fano多様体の分類を研究した。Fano多様体でない弱Fano多様体のうちFano多様体へ変形するものを弱化Fano多様体と呼ぶ。本年度はPriska Janke, Thomas Peternell, Ivo Radloffらの成果によりPicard数2の弱Fano多様体でその多重反標準射が因子収縮になる場合の分類について大きな進歩があった。この結果を私が研究してきた弱化Fano多様体の分類結果と照らし合わせ、より詳しく弱化Fano多様体の構造を決定できないかを考えた。 また、弱化Fano多様体の特徴として変形後の3次元Fano多様体のnef錘にある種の対称性があることがわかるのだが、この対称性と端収縮射との関係についてさらに研究を進めた。以前は双有理端収縮射のE5-typeについて対称性があるのかが良くわからなかったのだが本年度の研究でどの型の端収縮射についてもある種の対称性がなりたつことがわかった。 端収縮射の対称性から森重文、向井茂による非特異3次元Fano多様体の分類結果を応用することができ、変形後の非特異3次元Fano多様体の端収縮射をみることで非特異3次元弱化Fano多様体の可能性を絞ることができる。さらに弱化Fano多様体がどのような端収縮射を持つのかがわかる上、その多重反標準射の例外因子の個数についても情報が得られる。大抵の場合多重反標準射は原始的となり、しかもその弱化Fano多様体は非特異曲線を中心としたブローアップにより得られるのこともわかるのである。このとき、多重反標準射の例外因子とブローアップの例外因子との関係を調べることで、各々の弱化Fano多様体の構造を絞り込むことができた。 現在は、昨年度までに得ていた結果と今回得た結果を合わせ、論文の完成に向けて準備中である。
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