2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740029
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
井ノ口 順一 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (40309886)
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Keywords | メビウス幾何学 / ビアンキ曲面 / ウイルモア曲面 / 汎調和平均曲率曲面 / ボンネ曲面 / 相似幾何学 / ループ群 / シュワルツ微分 |
Research Abstract |
3次元双曲空間内のよい性質をもつ曲面(可積分構造をもつ曲面)の無限次元リー群論による構成を研究した。 (1)3次元ユークリッド空間における可積分構造をもつ曲面として「ビアンキ曲面」が知られている。 ビアンキ曲面はユークリッド空間に特有な「ルリューヴルの公式」を用いて発見・定式化された概念であり,双曲空間・球面に対し定式化することは容易でなく,これまで定義されたことがなかった. 藤岡敦氏(一橋大学)と共同研究を行い,ループ群論を用いてユークリッド空間・双曲空間・球面に対し統一的にビアンキ曲面の概念が導入できることを発見した。この発見による定義のもとでは3次元定曲率空間内のビアンキ曲面間にある種の一対一対応存在することが証明される。この対応は平均曲率一定曲面に対してローソン対応という名称で知られているものの類似とみなせる。平均曲率一定曲面の場合のローソン対応においては,「等温曲面(isothermic surface)が外在空間(ambient space)の共形変換で不変なこと」が背景にある。ビアンキ曲面の場合には等温曲面ではないのでローソン型の対応が存在することは注目すべき事実である。このローソン型の対応を利用してビアンキ曲面の「ループ群論的表現公式」を導いた。(論文:A.Fujioka and J.Inoguchi, Bianchi surfaces in space formsとして発表予定) (2)双曲空間内の汎調和平均曲率曲面及びボンネ曲面の可積分構造を「メビウス幾何学」の観点から研究した。 双曲空間内の共形変換群で不変な曲面論を用いて「メビウス計量を保つ連続変形を許容する曲面」の研究を藤岡敦氏と創始した。汎調和平均曲率曲面及びボンネ曲面はそのような曲面の中で,ある相似不変量を保つ曲面として特徴づけられることを証明した。この結果は「相似幾何学」が非自明な微分幾何学を展開可能であることを意味し,予想外のものである。更に「共形的シュワルツ微分を保つ変形をもつことと曲面がウイルモア曲面であることが同値である」ことを証明した。ウイルモア曲面がそのような変形をもつことはBurstall, Pedit, Pinkallの三氏の論文(2002年刊)で示されていたが,変形の存在でウイルモア曲面が特徴づけられることは本研究で始めて示された。(下記の研究集会において)Pinkall教授の高い評価を得た。今年度の成果は平成17年1月に開催された国際研究集会"Advances in Surface Theory"で発表した。研究集会で本年度の研究成果は高く評価された。((2)の成果は論文:A.Fujioka and J.Inoguchi, Deformation of surfaces preserving conformal and similarity invariantsとして発表予定)
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Research Products
(4 results)