2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 慎一 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00372558)
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Keywords | 速度距離空間 / リッチ曲率 / アレクサンンドロフ空間 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / リーマン多様体 |
Research Abstract |
今年度は主に,リーマン多様体におけるリッチ曲率の下限に相当する条件の,一般の測度距離空間での定式化を研究した.これは10年以上にわたって重要な問題として考えられてきたものであり,現在も活発に研究されている断面曲率を下から押さえた空間(アレクサンドロフ空間)を更に一般化した対象であると共に,Cheeger-Coldingらによるリッチ曲率を下から押さえた多様体の列の収束・崩壊理論に適切な枠組みを与えるものと期待される. 具体的に得られた結果としては,Sturm及びLott-Villaniによって最近与えられたCurvature-Dimension条件よりも弱い,Measure Contraction Property(MCP)という条件を導入した.(Sturmも独立に同様の条件を導入している.)これはリーマン多様体の場合にはリッチ曲率の下限と同値であり,またリッチ曲率を下から押さえたリーマン多様体で知られている種々の性質(Bishop-Gromovの体積比較定理,Bonnet-Myersの定理など)がMCPを満たす測度距離空間に拡張される.また,アレクサンドロフ空間はMCPを満たす.更に,特に重要な結果として,MCPは測度距離空間の列の測度付Gromov-Hausdorff収束の下で保存され,これとGromovのプレコンパクト性定理を合わせると,MCPを満たす測度距離空間の族は測度付Gromov-Hausdorff位相でコンパクトであることがわかる.
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