2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚バリアー機能の回復機構に対する数理モデル化とその計算機支援解析
| Project/Area Number |
16740053
|
|---|
| Research Institution | Kanazawa University |
|---|
Principal Investigator |
長山 雅晴 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (20314289)
|
|---|
| Keywords | 反応拡散方程式 / カルシウムイオン / 局在化現象 / 伝播現象 / 境界条件 |
|---|
| Research Abstract |
本研究では,皮膚バリアー機能を担っている角質層が破壊されたとき,角質層がどのような過程で急速に回復するのかを数理モデルの視点から解明することを目的として遂行してきた.
角質層が正常な皮膚ではカルシウムイオンが表皮組織中で深さ方向に局在しており,角質層が破壊されるとカルシウムイオンが局在しなくなり,表皮組織の内部に向かってカルシウムイオンが伝播する現象が知られている.角質層の状態変化がカルシウムイオンの状態変化を引き起こしていることから,最初に,カルシウムイオンの局在化と伝播現象を再現するための数理モデル化を行った.ここでは,カルシウムイオンの振動現象を記述する常微分方程式系のモデル方程式がすでに提出されていることから,このモデル方程式を反応拡散方程式系に拡張することで数理モデル化を行った.この数理モデルを十分広い区間(境界の影響を受けない)で数値計算すると,あるパラメータに依存してカルシウムイオンが空間非一様な振動をする解とカルシウムイオンが空間的に局在する解を得ることができた.
次に,角質層の変化を数理モデルの中に取り入れることを研究した.ここでは,角質層の状態変化を数理モデルの境界条件として与えることを考えた.現在,カルシウムイオンの局在化現象と表皮組織中を伝播する現象を境界条件の変化によって与えることができるかどうかを研究中である.今後は境界条件に依存したカルシウムイオンの状態変化の数理モデルが完成したのち,表皮細胞から角質化細胞への細胞分化の数理モデル化を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)
