2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740144
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土屋 麻人 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20294150)
|
Keywords | 弦理論の非摂動効果 / 行列模型 / D-brane(ZZ brane) / 超重力理論 / ハミルトン・ヤコビ方程式 / M5-brane有効作用 |
Research Abstract |
弦理論においては非摂動効果を解析して真の真空を決定することが最大の課題である。一般に、弦理論の結合定数についての漸近級数の振る舞いから、非摂動効果のうち弱結合で最も支配的な寄与は弦結合定数をgとするとe^<-c/g>の形になることが予想される。また、この形はD-braneの円盤振幅から理解できることが示唆されている。さて、行列模型は弦理論を非摂動論的に定義するものとして有力視されているが、特に、トーイモデルである非臨界次元の弦理論(極小弦理論)に対応する行列模型は正確に解くことができるため、弦理論の非摂動効果の性質を理解するための実験室としての重要な意味を持つ。1990年頃のこの行列模型の詳しい解析により、非摂動効果が確かに上記の形で与えられることがわかった。これは行列の固有値の1インスタントン効果として理解できる。さらに、2003年にこの効果は、極小弦理論を表すリューヴィル理論におけるD-brane(ZZ brane)の円盤振幅から理解できることが確かに示された。これから、行列模型の固有値のインスタントンとZZ braneの同一視が示唆される。私は佐藤彰氏と共同で、この同一視を確立するために、(2,2k-1)極小弦理論を表す1行列模型の多重臨界点近傍を研究した。我々は行列の固有値の2インスタントンの寄与を求め、これがリューヴィル理論における2つのZZ brane間の円環振幅に一致することを示した。この結果はこの同一視を強く支持するものである。さらに、1インスタントンと2インスタントンの寄与が行列模型のポテンシャルに依らない普遍的なものであることも示し、行列模型の分配関数のインスタントン数による展開が系統的かつ普遍的にZZ braneの振幅を与えることを予想した。他に佐藤松夫氏との一連の共同研究の続きで、M5-braneの共変的な有効作用が11次元超重力理論のハミルトン・ヤコビ方程式の解であること、すなわちon-shell作用であることを示した。
|
Research Products
(2 results)