2004 Fiscal Year Annual Research Report
B中間子のファイ中間子・パイ中間子への二体崩壊の研究
Project/Area Number |
16740146
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
宮林 謙吉 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (40273833)
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Keywords | B中間子 / CP対称性の破れ / b→dペンギン振幅 |
Research Abstract |
B→φπ崩壊過程は、クオーク遷移振幅で記すとb→dペンギン振幅によるものである。一方、B→J/ψπ崩壊は標準的なツリー振幅に加えてb→dペンギン振幅も寄与する可能性が指摘されており、この場合ツリー振幅とペンギン振幅が干渉することにより、「直接的CPの破れ」が崩壊過程に現れる。そこで、B→φπ崩壊過程の直接的探索の予備的測定として以前から進めてきたB→J/ψπ崩壊におけるCPの破れの測定を論文にまとめ投稿することに主眼をおいた。KEKB加速器/Belle測定器で収集した1億5千万B中間子対生成事象のデータからB→J/ψπ崩壊候補事象を91事象選別し、二つのCP非保存パラメーターSとAをunbinned maximum likelihood法で得た。ここでSは「間接的CPの破れ」、Aは「直接的CPの破れ」を示すパラメーターである。この結果、S=-0.72±0.42(統計誤差)±0.09(系統誤差)とA=-0.01±0.29(統計誤差)±0.03(系統誤差)を得た。CP変換に対する終状態の固有値の符号を考慮すると、SがB→J/ψKsで測定された「間接的CPの破れ」の値に近いこと、またAがゼロと無矛盾であることからb→dペンギン振幅は必ずしも大きくないものと解釈できる。この結果をアメリカ物理学会(APS)発行のPhysical Review Letter誌に投稿し受理され、93巻261801ページに掲載された。
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