2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16740209
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
堀田 知佐 青山学院大学, 理工学部, 助手 (50372909)
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Keywords | 有機導体 / 電子相関 / 負の磁気抵抗 / 近藤格子模型 |
Research Abstract |
有機導体のπ-d系はd電子がπ電子とが共存し相互作用する系である。最近、新しい1次元π-d系であるフタロシアニン系が合成され、実験で負の巨大磁気抵抗が観測された。この系を念頭に、本研究ではUVJモデルという重要なモデルを新しく提案した。ここでは同じサイト上(U)、隣接サイト間(V)の電子間クーロン相互作用を含んだ強相関1/4-fillingの電子系が各サイトで局在スピン系(S=1/2)との間の相互作用Jをもつ。このモデルの1次元での基底状態をNon-abelian密度行列繰り込み群という数値的手法によって詳細に調べた。その結果、U,V,Jの度合いによって(A)常磁性金属,(B)強磁性金属,(C)常磁性電荷秩序絶縁体,(D)強磁性電荷秩序絶縁体,という4つの状態が出現することがわかった。電荷秩序相(C)は電子間相互作用U,Vの大きな領域で出現する。この相はJの効果によって著しく安定化し、Jを強めると(D)相へと強磁性転移を起こす。(D)相は比較的小さなUとVでも安定に存在する。この(D)相は本研究によって初めて見出された、強磁性と電荷秩序の共存相である。解析計算により、このような強磁性絶縁状態は伝導電子と局在スピンがスピン一重項を強く組みながら仮想的に左右に移動することにより、残り半分の自由な局在スピンがそろう効果から出現することがわかった。以上の結果からπ-d相互作用Jは電荷ギャップを広げ、系を絶縁化する役割があることが明らかになった。このような系における磁場効果を考える。通常、磁場効果は電子の軌道を縮め正の磁気抵抗を引き起こす。しかしこの系では、磁場でスピン一重項が三重項に置き換わることによって電荷秩序がこわされ負の磁気抵抗を示す。このような新しい負の磁気抵抗の機構を提案する論文を現在準備中である。 また、本研究に付随した理論研究によりU=V=0の極限である1次元近藤格子模型の性質を調べた。数値計算が非常に困難なパラメタ領域を丁寧に調べた結果、1/4-filling近藤格子の基底状態の性質が、最近欧米のグループによって提案されているダイマー相ではなく、電子相関の強い朝永ラッティンジャー液体であることも新たに示すことができた。
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Research Products
(1 results)