2005 Fiscal Year Annual Research Report
大気境界層内の乱流プリュームの内部構造と発達過程に関する数値的な研究
Project/Area Number |
16740265
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
篠田 太郎 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 助手 (50335022)
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Keywords | 大気境界層 / 乱流プリューム / 熱・水蒸気の鉛直輸送 / 顕熱・潜熱フラックス / 熱対流・水蒸気対流 / パラメタリゼーション |
Research Abstract |
熱帯海洋上、夏季の亜熱帯海洋(東シナ海)上、および初夏の中国大陸淮河流域の水田上における大気境界層内の乱流プリュームの構造と、乱流プリュームによりなされる熱・水蒸気の鉛直輸送に関する数値実験と考察を行った。大気境界層内の乱流プリュームは水平スケールが500mから1km程度と小さいため、数値モデルの水平解像度を100mとして実験を実施した点が本研究の特徴である。それぞれの地域における観測結果から、地表面(海面、陸面)からの潜熱放出量が顕熱放出量に比べて大きいことが示されている。数値実験の結果、いずれの地域を対象とした場合においても、活発な対流活動が大気境界層内において示された。これらの対流活動の原因を検討したところ、地表面からの顕熱フラックスにより励起される熱対流的な要素だけでなく、潜熱フラックスにより駆動される水蒸気対流の要素が存在することが特徴である事が示された。水蒸気は乾燥大気に比べてその密度が小さい(軽い)ために、水蒸気を多く含む空気(湿った空気)が浮力を生成することが原因であると考えられる。このうち、特に東シナ海上の大気境界層内の対流は、海面と大気の気温差が小さいために、海面からの顕熱フラックスの値が非常に小さく、結果として熱による浮力への寄与がほとんど無い様な対流活動であることが示された。 本研究で示された様な大気境界層内において水蒸気により駆動される対流活動は、本研究で対象とした地域においては珍しくない現象であると考えられる。今回の研究においては、地表面からのフラックスと対流活動の強さや鉛直熱・水蒸気輸送量の定量的な評価は行えなかったが、GCM(大気大循環モデル)におけるパラメタリゼーションの改良を目指す上で、これらの評価を行う事が今後の研究課題であると考えられる。
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Research Products
(1 results)