2004 Fiscal Year Annual Research Report
多様化と拡散からみた絶滅後の放散虫群集の回復過程と海洋環境
Project/Area Number |
16740293
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鎌田 祥仁 山口大学, 時間学研究所, 助教授 (30294622)
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Keywords | P-T境界 / 絶滅 / 放散虫生層序 / 下部三畳系 / ニュージーランド |
Research Abstract |
ニュージーランド北島に分布する下部二畳系において,現地調査・試料採取を行った.高精度の柱状図を作成するとともに,放散虫化石を抽出するための岩石試料を,おおよそ数cm〜数10cm間隔で採取した.すでに採取済みの岩石試料も合わせて,(1)岩石薄片による岩相の観察と記載,(2)一部試料については化学組成分析,そして(3)放散虫化石の抽出作業を行った.前者2つについてはそれぞれ,(1)構成鉱物とその組織は,遠洋域〜半遠洋域の堆積物の特徴を示している,(2)化学組成,とくに微最元素の濃度比が海洋島玄武岩に類似することが明らかになった.とれに堆積速度を考慮した結果,研究対象とした堆積物が遠洋い半遠洋域の海洋性堆積物であることが追認され,ここから読みとることができる生物の消長と環境変化が,かっての大洋域のものであることを確認した. 日本をはじめ,北米やヨーロッパを中心とした従来の検討で,前期三畳紀の放散虫花石はほとんど産出の報告例がない.したがって(3)で抽出できた放散虫化石は,産出そのものが,大きな成果であり,今後さまざまな新知見が期待できる.これまでに数10の試料から産出することが明らかになっており,その時代は前期三畳紀をほぼカバーしている.詳細な群集解析とそれに基づく.他地域との比較が今後の課題である.これまでのところ,前期二畳紀の最後期に出現すると考えられていた中生代型の新系統が,それよりも場前の前期三畳紀の中頃に出境していたことが明らかになっている.この新系統の出現時期について,他地域との比較をしていくことで,絶滅後の新系統の出現と拡散をモニターできる可能性が考えられる.
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