2004 Fiscal Year Annual Research Report
二官能性モノマーの自己組織化能を利用した高分子超格子の創製
Project/Area Number |
16750101
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小椎尾 謙 長崎大学, 工学部, 助教授 (20346935)
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Keywords | 高分子超格子 / 二官能性モノマー / 重付加反応 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では、二種類の二官能性モノマーを用いて、化学反応を交互に行うことにより、固体基板上に垂直に配向された高分子薄膜を調製する。最終的には、種々のアルキル鎖長を有するモノマーを用いることで膜の秩序性を制御し、高分子超格子を創製することを目的とする。 シリコンウエハー上に、アミノシラン化合物(アミノプロピルジメチルエトキシシラン)を固定化した。次に、このアミノシランを固定化したシリコンウエハーを4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)溶液に浸漬することにより、MDI単分子膜を累積した。さらに、二層積層した基板をドデシルアミン(DDA)溶液に浸漬し、三層目のDDA単分子膜を累積した。 得られた試料について、フーリエ変換赤外吸収分光(FT-IR)測定、X線光電子分光(XPS)測定および原子間力顕微鏡(AFM)観察を行い、層状構造の形成の確認および凝集構造を評価した。 一層目のアミノシラン単分子膜の形成をAFMの形態像の変化から確認した。次に、二層目まで積層した試料のFT-IRスペクトルにおいて、ベンゼン環由来のピークが確認されたことより、MDI単分子膜の累積を確認した。さらに、三層目まで積層した試料について、1.FT-IRスペクトルのメチレン鎖の逆対称および対称伸縮振動に由来するピーク波数位置、および、2.XPSスペクトルの中性炭素の割合の増大により、DDA単分子膜の累積を確認した。一方、AFMにより各段階における単分子膜の表面形態を観察した結果、数ナノメートルの凹凸を有しており、分子レベルでの平滑性は有していなかった。これより、現段階で得られている多層膜の各層の膜成分の秩序性は低いと示唆される。膜成分の秩序性は、単分子膜調製時の溶液濃度、温度、浸漬時間等を変化させることで向上できると考えられる。また、各層の単分子膜形成に関する定量的な評価および凝集状態についても、今後検討を進めていく予定である。
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