2005 Fiscal Year Annual Research Report
扇形分子を用いたマイルドな条件下での金属ナノワイヤーの合成法の確立
Project/Area Number |
16750114
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
植田 一正 静岡大学, 工学部, 助教授 (10275290)
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Keywords | 扇形分子 / 金属ナノワイヤー / redox反応 / 分子間相互作用 / 自己組織化能 / 一次元柱状構造 / 迅速再結晶 / 分子ワイヤー |
Research Abstract |
金属ナノワイヤーは、ナノスケール回路や量子効果を利用した電子デバイスへの応用が期待されている。しかし、これまでに報告された幅数nm程度の無機ナノワイヤーの合成には、高温、高圧や超高真空などの過激な条件が必要であり、その寿命は10秒以下と極めて短く、反応系から安定に単離されることは無かった。そこで本研究では、分子間相互作用の強いredox活性を示す扇型分子を利用し、常温・常圧下溶液中金属塩を還元することにより有機分子によってナノワイヤーが覆われた金属ナノワイヤーの合成方法の確立を目指して研究を進めている。平成17年度は、1)分子間相互作用を担うヨウ素、シアノ基を導入したredox活性扇形分子の自己組織化能の評価および、2)デバイス化を目指した基板上での簡便な構造体作成法の確立を行った。 1.分子間相互作用を担うヨウ素、シアノ基を導入したredox活性扇形分子の合成 結晶中で金属ナノワイヤーを内包可能なredox活性扇形分子として、ヨウ素とシアノ基が置換した扇形ドナー分子の合成に成功した。この分子は難溶性が高く、研究室で一般に用いられる有機溶媒への溶解が困難であった。自己組織化能を評価するためには、シアノ基あるいはヨウ素基の数を減らして溶解性を向上さる事が必要であることが明らかとなった。 2.基板上での簡便な構造体作成法の確立 簡便なchemical deposition法を用いて、昨年度は金属錯体を用いたリング状構造体、あるいは棒状の構造体がはしご状に積み重なった構造が作成されることを見出した。本年度は、一軸成長性の大きい一次元有機伝導体を基板共存下、溶媒を短時間で留去して迅速に再結晶することにより、結晶性の高い幅数十nmの分子ワイヤーの作成に成功した。
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