2005 Fiscal Year Annual Research Report
電子受容体修飾デンドリマーを用いた光誘起電荷分離の長寿命化と光電変換素子の創成
Project/Area Number |
16750128
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小西 利史 独立行政法人理化学研究所, 和田超分子科学研究室, 基礎科学特別研究員 (50373303)
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Keywords | デンドリマー / 光誘起電子移動 / レーザーフラッシュフォトリシス |
Research Abstract |
光・電気化学的に機能を有する分子(すなわち、色素およびRedox活性な化合物)を集合体化させることで、単一分子の場合とは異なる新たなる機能の発現がなされると期待し、機能性分子のPAMAMデンドリマー表面修飾、およびその光誘起電子移動を検討した。PAMAMデンドリマー表面に、安定かつ電子受容活性な分子として4,4'-ビピリジニウム誘導体であるビオロゲン部位を修飾することを試みたが、実際に合成をおこなってみると、ビオロゲン部位の立体・あるいは静電的障害により、表面修飾率は半分にも及ばず、さらに、表面修飾率および生成物の同定が困難であった。この結果、低い表面修飾率により、各機能性部位間の距離が電子・ホールマイグレーションの目的に十分な程度に接近できていないため、集合体としての光機能発現が困難と考えられた。そのため、対象分子を一部変更し、色素のナノワイヤー状集合体として取り扱えることを見いだしたシングルウォール・カーボンナノチューブ(SWNT)と機能性部位を修飾した低世代デンドリマーとの光誘起電子移動について検討することにした。SWNTは光機能活性なアモルファスカーボンとの混合物として合成されるため、混酸中における数時間に及ぶ超音波照射によって精製を行う必要があるが、その際に構造の損傷部位が生じ、個々の色素集合体として機能することを時間分解蛍光測定、蛍光の消光、定常光照射実験、ナノ秒レーザーフラッシュフォトリシスによる光誘起電子移動解析によってはじめて見いだした。機能性分子を修飾した低世代デンドリマーを合成し、SMNTと吸着させた光反応を試みているが、実験方針を変更したため今年度に実験を完了することができなかった。今後は通常の研究予算で最終測定データの取得をおこなう。
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