2005 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性マラリアワクチンの化学合成とワクチン-抗体相互作用の分子構造解析
Project/Area Number |
16750139
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
奥 浩之 群馬大学, 工学部, 助教授 (20301749)
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Keywords | マラリアワクチン / 人工抗原 / ペプチド合成 / 構造解析 / 核磁気共鳴スペクトル / 液相法 / ELISA / エノラーゼ |
Research Abstract |
(1)現在我が国を含めて、経済活動の拡大に伴い、地球規模での人や物資の移動が盛んになってきている。これに時期を同じくして日本人渡航者および入国者による輸入マラリアが急激に増え、特に1980年代より熱帯熱マラリア(Pf)の症例増加が顕著である。例えば近年は症例のうち46%を占めることが報告されている。日本人にとってPfによる症例は、高度の緊急性をもつ急性疾患であり、早期診断と適切な処置が必要である。また世界に於ける薬剤耐性マラリアの拡散は極めて急速で、これに対応した薬剤の選択は困難である。 (2)ワクチン分子の化学合成 我々はこれまでにマラリアワクチンを目指して熱帯熱マラリア原虫由来酵素、エノラーゼに注目して合成面から研究を行ってきた。最近行われたヨザルに対する動物実験の結果、酵素部分配列Ala256-Asp277(AD22)を含む多抗原ペプチドがワクチン候補として有用であると明らかにされた。(AD22=Ala-Ser-Glu-Phe-Tyr-Asn-Ser-Glu-Asn-Lys-Thr-Tyr-Asp-Leu-Asp-Phe-Lys-Thr-Pro-Asn-Asn-Asp)これまでにワクチン分子について実用的な合成ルートを確立することができた。合成したペプチドは患者血清を用いたELISA検査より、この抗原は日本人に多い急性期患者の診断に特に有効であることや病態の経過を見るのに適している。本年度は、製造方法の徹底的な改良を行い、特許の国際出願を行った(PCT加盟国およびタイ王国)。 (3)コンフォメーション解析 生理条件でのワクチンコンフォメーションの解析を開始した。計画通り15Nラベル化は国立国際医療センター研究所にて、3次元NMR測定は大阪大学で行った。マシンタイムの確保が困難なため、来年度に引き続き測定を行う。現在は得られたスペクトルについて、シグナルの帰属を続けている。
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Research Products
(4 results)