2004 Fiscal Year Annual Research Report
高性能燃料電池のためのポリエーテル系電解質膜に関する研究
Project/Area Number |
16750160
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮武 健治 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 助教授 (50277761)
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Keywords | 燃料電池 / 高分子電解質 / 膜 / プロトン伝導 / ポリエーテル |
Research Abstract |
平成16年度はポリエーテル電解質の設計と合成、および電解質膜の基礎物性解析を行った。電解質の基本骨格として、結合エネルギーが大きく安定で、求核置換重縮合または酸化重合反応により容易に高分子量体が得られ、電気陰性度が大きく水分子による求核置換攻撃を受けにくい、等の要件を満たす分子構造を探索し、フルオレニル基を有する芳香族ポリエーテルを選定した。ポリエーテルはフルオレニリデンジフェノールとビス(4-フルオロフェニル)スルホンの重合により合成した。このポリエーテルをクロロ硫酸と反応させることにより、スルホン酸化ポリエーテル電解質(SPE-1)を得た。また、ビスフェノールAを50mol%共重合させた共重合電解質(SPE-2)も同様の方法で合成した。スルホン酸化反応条件(溶媒、温度、クロロ硫酸濃度、添加方法)を詳細に検討し、所望の位置にのみ、かつ定量的にスルホン酸基を入できる方法を見出した。SPEの構造は、1H MRおよびIRスペクトルにより確認した。SPEは極性有機溶媒に可溶で、溶液キャスト法により無色透明の強靭な膜とすることができる。SPEは耐熱性に優れており、分解開始温度は250℃以上、ガラス転移温度は有していない。加水分解安定性・メタノール耐性にも優れており、高温水蒸気や高温メタノール水溶液と1ヶ月以上接触させても、分光スペクトル、分子量、膜物性に変化は見られなかった。100%RH下におけるプロトン伝導度を測定したところ、IECが1.14(meq/g)のSPE-1が100℃以上の高温でもプロトン伝導度の減少を示さず、140℃で0.20Scm^<-1>と高い値を保持した。SPI-1に比べ顕著ではないが、嵩高いフルオレニル基による保水効果が現れているものと考えられる。以上のように、新たに設計したスルホン酸化ポリエーテル電解質が、燃料電池用電解質膜として要求される特性を満たしていることを確認した。
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Research Products
(6 results)