2004 Fiscal Year Annual Research Report
電子・プロトン混合導電性層状水和酸化物の合成と電極材料への応用
Project/Area Number |
16750170
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
杉本 渉 信州大学, 繊維学部, 助手 (20313843)
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Keywords | 層状酸化物 / 酸化チタン / 酸化ルテニウム / ナノシート / プロトン伝導 / 電子伝導 / 電気化学キャパシタ |
Research Abstract |
層状遷移金属酸塩は2次元的なソフトマテリアルであり、その層間を利用して様々な機能性を持たせることができる。本研究では層間プロトンの特性を活かした材料合成と機能性付与ならびに、層自身の機能性を活かした電極材料への応用を検討する。平成16年度は層状チタン酸の一種である四チタン酸を母構造とした四チタンナノシートコロイドを利用した新規な無機-有機複合材料の創製を試みた。また、層状ルテニウム酸のプロトン・電子混合導電性を電気化学インピーダンス法にて検討した。 四チタン酸ナノシートコロイドを用いてエチレンジアミンが層間でバイレイヤー配列した新規な層間化合物を創製した。四チタン酸ナノシートコロイドに高濃度のエチレンジアミンを作用させと、エチレンジアミンのアミン基の片方が四チタン酸ナノシート表面と反応し、その後自己組織化によりバイレイヤーエチレンジアミン/四チタン酸層間化合物が得られることを各種分析(XRD, CHN, IR, TG-DTA, C-NMR)により見出した。得られた生成物は通常のインターカレーション反応では得られない新規な材料であり、ナノシートコロイドの特異性を活かした新たな材料設計指針を確立できた。 大容量電気化学キャパシタに有望な材料である層状ルテニウム酸水和物のプロトン・電子混合導電性を電気化学インピーダンス法にて検討した。層状ルテニウム酸水和物のプロトン伝導性は大容量電気化学キャパシタに用いられるRuO_2・0.5H_2Oナノ粒子と同程度であり、水和層間でのプロトンは粒子の表面に匹敵する伝導性を有することを見出した。また、電気化学キャパシタに用いる電極材料としては層状ルテニウム酸水和物やRuO_2・0.5H_2Oナノ粒子の電子伝導性は十分であり、デバイスの性能を悪化させる抵抗成分は主としてプロトン伝導に起因することがわかった。
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