2004 Fiscal Year Annual Research Report
高性能高分子固体イオニクス材料の作製プロセスにおける超臨界二酸化炭素の応用
Project/Area Number |
16750184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
富永 洋一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30323786)
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Keywords | 高分子固体イオニクス / 高分子電解質複合材料 / ポリエーテル / メソポーラスシリカ / イオン伝導度 / 解離度 / 超臨界二酸化炭素 / 可塑化効果 |
Research Abstract |
本年度は、新規機能性フィラーの充填により固体状態でも高いイオン伝導性を示す高分子電解質材料の作製を目的とした。フィラーとしては、規則的なハニカム状多孔構造を有するメソポーラスシリカ(MPSi)に着目し、この空孔内部を高イオン伝導性液体で修飾することを初めて試みた。SEM及びTEM測定の結果からは、未修飾及びイオン性液体(IL)修飾-MPSiが均一な楕円状ドメイン構造を示し、かつ周期的で規則的なナノ構造を有することが分かった。SAXS測定からは、IL修飾によるSiO_2骨格の長周期構造の乱れがほとんど見られなかった。これらの一次元相関関数は、同じ長周期サイズに対してIL-MPSiの壁厚の増加と孔径の減少が認められた。IL-MPSiの空孔サイズが未修飾-MPSiよりも小さい値であることは、IL分子が空孔内部に存在することを裏付けている。各種複合体フィルムのイオン伝導度とフィラー充填量の関係について検討したところ、40℃では未修飾-MPSi複合体のイオン伝導度が未充填PEO-Li塩電解質よりも高く、10wt%充填した系では10倍以上を示した。これは、フィラー充填によるPEO結晶の減少に起因している。ところが、90℃では複合体のイオン伝導度が低く、その値は充填量の増加と共に徐々に低下した。フィラードメインの凝集化が引き起こされ、それが絶縁相として働いていると考えられる。一方、IL-MPSi複合体は全ての充填量範囲でオリジナル試料よりも高い伝導度を発現した。特に、高充填量試料の改善が著しく、40℃では15wt%充填の試料で最大500倍以上の増加を示した(3.8×10^<-5>S/cm)。これらの試料フィルムは、イオン液体のPEOマトリックスとの混和による系の膨潤や強度の低下が見られず、固体状態を十分に保持していた。従って、IL修飾MPSiドメインがPEO中でイオン伝導パスとしての役割を果たしている可能性が示唆された。今後は、これらの高分子電解質複合材料に超臨界CO_2処理を行う事によって、MPSiフィラーの分散性が向上することが考えられるため、系の力学的強度を高く保持したまま更に高いイオン伝導性を発現できる新しい材料の開発につながることが期待される。
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Research Products
(2 results)