2005 Fiscal Year Annual Research Report
高性能高分子固体イオニクス材料の作製プロセスにおける超臨界二酸化炭素の応用
Project/Area Number |
16750184
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
富永 洋一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30323786)
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Keywords | 高分子固体イオニクス / 高分子電解質複合材料 / ポリエーテル / 超臨界二酸化炭素 / イオン伝導度 / 解離度 / メソポーラスシリカ / 可塑化効果 |
Research Abstract |
本年度は、二酸化炭素流体中における固体高分子電解質(SPE)のイオン伝導挙動を評価し、イオン輸送に最適な材料作製の為のプロセッシング条件を整理した。高圧下においてSPE内に溶解したCO_2分子は、イオン局所構造に高濃度に吸着し、ルイス酸-塩基相互作用によってアニオンや高分子鎖に配位することによって、凝集イオンの解離を促進させたためであると考察された。これらの効果を詳細に検討するため、高圧複素インピーダンス測定システムを用いてCO_2中におけるSPEのイオン伝導挙動を直接観察した。CO_2中におけるイオン伝導度の圧力依存性は正となり、既報の不活性ガス下における挙動とは異なる結果を示した。更に、様々なLi塩を含むSPEの圧力依存性とCO_2溶解量の測定を行った結果、アニオン種によってCO_2溶解量とイオン伝導度が大きく異なることが分かった。これらは、SPE中に吸着したCO_2分子とCO_2に親和的なアニオン間における相互作用がイオンの解離と移動を促進していることを裏付ける結果である。 一方、高分子材料としての固体物性を保持したままSPEのイオン伝導度を改善する技術の為、新しいタイプの無機フィラーとして次元制限性を有するメソポーラスシリカ(MPSi)に着目し、モデル化合物として結晶性PEO及び非晶性PMEOのLiCF_3SO_3電解質へ充填したSPE複合材料を作製した。得られたMPSiの長周期構造は、SAXS及びTEM測定より確認された。PEO系電解質のイオン伝導度は、僅か2.5wt%のMPSiの充填によって40℃で2倍以上向上し、市販の粒子状シリカ(pSiO_2)よりも高い値を示すことが分かった。これは、合成されたMPSiのBET比表面積が829m^2/gと極めて大きく、一般的なナノサイズフィラー(pSiO_2の場合:90m^2/g)よりも10倍近いことによる。このようなイオン伝導度の向上は、高分子-フィラー界面におけるイオン伝導パスの形成が影響しており、MPSiの充填がイオン伝導度の向上に有効であることが初めて示された。
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Research Products
(5 results)